読売の書評欄で、キョンキョンが紹介していたので
「たまもの」 小池昌代著
独身のアラフォー女性の所に、いきなり元カレが
男の赤ん坊を連れてやってきた。
その子の母親は事故で亡くなり、彼女に預かって
欲しいというのだ。
出産経験どころか、結婚もした事がない彼女。
仮の親子の日々が始まる。
と、読み終わってページを繰ってみたが、あれ?
彼女の名前ってなんだっけ?書いてない?
「わたし」か「かあちゃん」っきゃでてこんね~
いらなかったのかなぁ、この二つしか。
名前を呼ばなくてもいいくらい、登場人物たちの
関係が濃い、とかね。
子どもの名前は「山尾」という。
百人一首の「山どりの尾のしだり尾の・・」ってやつ。
へんな名前と思うが、「わたし」が山尾に呼びかける
時、それはとってもやさしい響きになるのだ。
でもすごいなぁ、臭玉にしても、不倫の関係にしても
老人の性にしても、見つめる目がまっすぐで
ごまかしたり、見ないフリをしたりしない。
あるイミ、残酷な感じがするけど、本人は素朴に
生物学的に見た人間の性~こっちはさが~という
とらえ方をしてるだけのような。
女性作家って怖い。小池さんは、詩人でもある
からかな。
伊藤比呂美も詩人だけど、このヒトの書くエッセイ
なども、身もフタもないんじゃないかって思うほど
率直な書き方をする。
詩を読むヒトたちは、感じたままをことばに乗せて
人々の胸にバズーカ砲をぶっぱなしているヒトたち
なのかも。
たまものも、山尾とのエピソードがひとつひとつ
きらきらした言葉の花火だ。
山尾が喜ぶなら、ゆきだるまに自分のマフラー
巻いてやったってさぶくない・・
そういえば、ゆきだるまも玉物のひとつだね。
え?たまものは「賜物」?