題名からも分かる通り、読書イノチ!じゃなくて
書物・・つまり本そのものイノチの人々を描いた
短編集。
「書物愛」 紀田順一郎 編集
紀田さんの古書にまつわる話は大好きで
よく読んだ。小説の中から、古本独特のにおいが
立ち上ってくるようだし、古びた背表紙が並ぶ
本棚の中に、宝が埋もれているように思えて
ワクワクする。
今回は海外の古書蒐集家たちのお話を紀田さんが
集めたモノ。
でも、この題名、ちょっと持ち歩くにはやっぱり
気恥ずかしい・・・電車なんかで読んでたら
アンタって、どんだけ本好きなの?なんて思われそう
海外の知らなかった名作がずらり。でも短編なので
そんなに重たくならず、この世界で遊べたカンジ。
いやあ、古書蒐集家の執念てすごいね!
ヒトんちに放火したり、勝手によそんちの雨漏り
直したりネズミ退治したりって、何のことだか
わかんないでしょうが、読めばわかる!(笑)
この中では愛書家である以上にアタマの中に膨大な
書庫を持つ男って点でずば抜けていた、
「書痴メンデル」S・ツヴァイク作に出てくる
メンデルさん。
こんな人こそ、人類の生ける文化遺産だと思う。
であるからこそ、この終わりは悲しい。
実在した人物みたいに、惜しい!と思ってしまった。
「牧師の汚名」も面白かったなあ。
本を詐欺の手口に使うなんて言語道断!
結末にはスカッとさせられる。
どの作品も逸品ぞろいで大満足。
この本は「日本篇」もあるので、こちらも読もうと
思っておりやす