「おバカさん」という、遠藤周作の作品があって、それに出てくる
ガストン・ボナパルト(ナポレオンの末裔らしい?)。
弱虫で馬面で、泣き虫。それでもかわいそうなヒトや、悲しみに沈む
ヒトをほっておけない。
自分が犠牲になっても助けようとする。本人、懸命だけど可笑しくて、
おバカさんとしか言いようがない。
作品の最後には、ガストンさんの正体は?と思うようなところがあり
その生き方に納得するフシギな展開。
これが1959年の作品。
感動しながらも、その後は深い河を読んだ程度で、遠藤氏の作品からは
離れていた。
先日、他にもガストンさんが登場する作品を知り、40年ほどの
時を経て、彼と再会することになった。
「悲しみの歌」 遠藤周作著

悲しみの歌は、1977年の作。
じつに18年たって、ガストンさんを再登場させたと言うわけだ。
登場人物は、それぞれがあの時代の本当に普通の人たち。
皆、自分の信じる事が正しい事だと思って生きている。
結果的にそれがヒトを傷つけたり、自分が傷つく事になったり。
そんな中でガストンさんはひときわ無垢な心で、悲しみに沈むヒトを
助けようと粉骨砕身努力する。
あの海と毒薬の医師・勝呂は流れ流れて東京にいる。
ここでも自分の揺れる倫理観の中で、ヒトの命を救う医師としての
仕事を全うするべく、淡々と日々を送っているが、やがてまた
石をもて追われる身となってしまう。
しかし、勝呂の心にガストンさんが寄り添った事によって、少しは
救われたと言うことはないだろうか。
そうでなければ、つらすぎる最後だ。
市井のヒトは時にやさしく、時に残酷なことがある。それが普通で
日常であるが、自分の信念や常識と思う事を、無垢なココロで
見直すことも大事であるのだと、そういわれている気がする。
ガストンさんは、その為の大切なアクターなのだ。
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ジムのHさんからいただいた懐中汁粉
珍しくて面白い。最中みたいなものを、お椀に入れてお湯を注いだら
ピンクの小鳥が可愛らしい。ご馳走様でした