☆ 再読 ☆ ε=(。・д・。) | 三龍建築士

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BOX・ドラマ・映画・・・ときどき読書(笑)の日々に変更~

最近になってワタシは、じつは新聞小説をよく読んでいる

ことに気がついた。


宮部みゆきみたいな有名どこぷぷから、知らなかった平野啓一郎とか

池澤直樹も。伊坂幸太郎のSOSの猿も読んだな~。


本になってから再読するのは少ないけど、こちらはあっためておいて

満を持しての再読Yonda?



「母の遺産」 水村美苗著


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去年、講演会でサインまでしてもらっちゃった うししっ

もったいなくて今まで取って置いたんだ。


このヒトの本の装丁も好き。とってもセンスがよくって大事にしたくなる。


寄り道はココまで。

新聞小説と副題がついているだけあって、明治の女性と新聞小説の

関係をボヴァリズムになぞらえて、物語を紡ぐ。



その昔、ボヴァリー夫人を読んだ多くのフランスの女性は、

自分の事を書いたのではないかと思ったそうだ。

ココでは、当時の大人気新聞小説「金色夜叉」を読んで

自分がモデルだ!と思い込んだ女性を祖母に持つ、美津紀の物語。



新聞小説は、学問も出来ずに不幸な人生に翻弄されてきた明治の

女性達に自由に生きようとする意欲を与えた。



3世代にわたって、人生や恋愛に自由に生きようとした女たち。

祖母は駆け落ちの末、ムスメの奴隷のようになって晩年をすごし、

そのムスメである母は庶子である故の不幸からに執念のように

上流を目指しわがまま放題に生きて、美津紀たち姉妹を苦しめた末、

生涯を終える。



夫の浮気と、母のわがまま介護に振り回される美津紀。

自らの人生さえもつまらないものに見え、来るべき老後に暗澹たる

思いを抱く。



自分は人生で本当にやりたい事を

           やってきたのだろうか。



しかし最後に美津紀が選択した人生は、すがすがしい。

情けない夫に突きつけた三行半も胸がすくようである。

物語の終わりに訪れるロマンスもその一助をになっている。



でもそれは、彼女の自信につなげて終える所が天晴れである。

箱根の旅情もたっぷり。魅力的だ。10000系

女一人で、こんな旅をするのもいいかもしれないと思わせる。



うまいですねぇ、水村先生

滑稽だろうと悪あがきと思われてもワタシももっと自由を求めて

がんばろっとオー↑


こうして、現代でも新聞小説は人々に少なからず影響を与えている

わけさ~
ただ、ドナルド・キーン氏の連載の時もそうだけど、

山口晃氏の挿絵が何とも言えず作品に沿っていて、

かつユーモアがあって最高だったのに、やっぱり単行本になると、

一枚も載っていないくてさびしいさみしい



また見たいなぁ・・・





らーらさん、大暴れバカ
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