小さい頃、日曜日の朝は11時ごろになると行商の
おじさんがやって来た。
おじさんは、ちょうど給食のパンケースみたいな
アルミのケースをかかえて、
「シュウマイとぎょーざ」と玄関で大きな声で呼ぶのだ。
日曜は大体、寝坊をしていて、そろそろごはんでも・・・
なんて家族が起きてきた頃なので、おかずに丁度いいのだ。
シュウマイは一口サイズで、買うと必ずそばで覗き込んでいる
ワタシに「1コあげるよ~」と言ってくれるのだった。
日によって持ってくる物が天ぷらになったりする。天ぷらだと
オマケしてくれないので(そりゃソーダ)、つまらない。
だから、日曜はおじさんの「シュウマイとぎょうざ」を、玄関で
心待ちにしていた。
昔は、いろいろな人が家にやって来た。
新聞や雑誌、金属ゴミなんかをもっていく屑屋のおじさん。
「くずィ~、おはらい」って言って入ってきた。
屑の重さでお金をくれる。重さは、注射器みたいな秤の先の
鉤に屑を引っ掛けて測る。いくらになるのか、これもそばで見ていた。
あとでその中からお小遣いをもらえたりするからだ。
子どもはおじさんのことを、クズヤクズヤと馬鹿にしてたけど、
実はおじさんは、山の手に御殿のような家を持っていると言う
噂だった。ある日、ぱったり来なくなった。
他にも、でかいカゴを何段も重ねてでかい風呂敷にくるみ、
背中に背負ってやってくる、八百屋のおばさん。
自分の身体より荷物の方が大きかった。
みんな売りに来てはしばらく母と世間話をして休んでいくのだった。
あの人たちは今どうしているのだろう
親しくしていたのに、実は謎のヒトたち