いつものように僕の担当するお客様がご来店。

その方は、白髪交じりの男性のお客様

僕が初めて担当したとき

ある芸能人の切抜きを持ってきて

「この髪型できますか?」

似合わせや年齢を考えたら違う提案も出来たけど、

「かしこまりました」

そこからずーっと全く変わらないヘアスタイル。

今では常にオーダーは

「いつものように」


美容師として、お客様の悩みを解消したり、チェンジしたり、前回よりももっと・・・って、

多くの美容師、多くのお客様は、それを望んでいるかもしれない。

でも、大切なのは、


『そのヘアデザインにどんな想いが込められているか?』


実は、そのお客様の奥様は、そのオーダーする芸能人の大ファン。

でも、そのお客様は、

いつも真面目で、多くを語らず、むしろ口下手な感じ


それを知っていた僕は

表現や口下手なお客様が言う


「いつものように」


という言葉に奥様への愛情をいつも感じる

だから僕も黙々と、もうすでに違うヘアスタイルになっているその芸能人のヘアスタイルを

オーダーされた当時のままのスタイルを丁寧に再現する。


きっと、そこにはお二人にしかわからない歴史の中の1ページの

大切なヘアスタイルなのかもしれないと思うと、

その1つの表現を任されていることに嬉しく感じる。

ヘアスタイルは、1つの自己表現。

変わらないということ、変わらないという想いもあるということ

それもひとつのカタチ。

直接言い合わなくても、何気ない日常に愛情を感じる

素敵な夫婦に、これからもそのお手伝いをさせて頂けたら光栄です。


お客様の想いをカタチに

かっこよく、可愛く、綺麗に・・・その先にある想い。

それが美容師の仕事。