服部 佐藤先生がレッスンで大切にされていることを教えていただけますか?
佐藤 僕はレッスンでは、「音程」「音色」「アタック」をキーワードにしています。自分の頭の中で思い描いた音を実際に作るために、"どんなことが必要だろう" "今できてることや自分の強みは何だろう" と前向きになれるようなレッスンを心掛けています。
服部 "目標とか憧れてる音ってあるけれど、何をどうすればいいのか分からない" という人に嬉しいレッスンですね。むかし僕のリペアの先生が "周りに聴こえてる自分の生の音は、自分では聞くことはできない" と言っていました。すぐそばでトランペットの先生に聴いてもらえるっていうのは、音作りにとても役立ちますね。佐藤先生も、ご自分の音づくりには苦労されたんですか?
佐藤 自分の音作りを振り返ってみると、もちろんロングトーンやスケールなどの基礎的な練習はたくさんしてきました。小中高生の頃であれば、まだ携帯電話など手軽に録音できる機械もまだ無かったので、先生や先輩、同級生、後輩に聴いてもらって、「1回目と2回目どっちがいい?」とかいろんなパターンを吹いたり、アドバイスを受けることで自分の音が少しずつ見えてきました。決して一人ではできなかったと思います。
服部 やっぱり、人に聴いてもらうって大切ですね。今は気軽に録音はできますが、録音では分からない部分もたくさんありますよね。本人の吹き方とか…。奏法について苦労されたとお聞きしましたが、何かあったんですか?
佐藤 奏法といえば、管楽器を吹いた人はもれなく全員にある "アンブッシュア" 。金管楽器特有の言い回しでは粘膜奏法なんて言葉もありますが、かく言う僕もその壁にぶつかったことがあります。
中学一年生の僕は、気づけば真ん中よりもかなり右側にずれた位置で吹いていました。それでも高い音も特段苦しさもなく吹けていました。当の本人はそう焦ることも問題に思うこともありませんでしたが、指導してくださっていた先生からコンクールが終わったら真ん中で吹くようにと言われ、しぶしぶ真ん中にしました。しかしながら高い音もでない、まずは真ん中の音が出ない。思うように吹けないことにストレスが溜まっていきました。いろいろ吹き方を模索していた時に、高い音がなぜか出る方法が見つかりました。音色はガサガサ、低音は全くでないのですが。それが、マウスピースを唇に当ててから上唇だけがめくれた状態にして吹く方法でした。当時の中にあの僕にとっては音色がガサガサでも高い音が出ることが魅力的でした。当時はトランペットの同期が低音が得意だったこともあり、上は僕がメインで低音が出てきたらバトンタッチとうまい具合にギブアンドテイク?が出来ていたこともありそのまましばらく吹いていました。忘れもしない中二の秋の講習会。グループレッスンなのに担当の先生が僕に集中的にアンブッシュアをひたすら直すように言われました。当時の自分はまた全く音が出せなくなり、悔しくて泣きました。当時その講習会で貰った楽譜だけグシャグシャのままファイルに入ってました(笑) その後、しばらくの間は全く音が出ませんでしたが、中二の冬は金管八重奏で "高貴なる葡萄酒を讃えて" をどうにか演奏できるようになるまでになりました。そうした経験のおかげで今があるわけですが、アンブッシュアを変えるのはとても苦労しました。
服部 アンブシュアで悩んでいる人は多いですよね。しかも変えるのはかなり大変...。自分の体験もいかしつつレッスンしてくださるのは、本当に助かると思います。生徒に寄り添ってくれるレッスン、僕も佐藤先生のレッスンからも学んでいきたいと思います。佐藤先生は、今後の目標などはありますか?
佐藤 今後はトランペットに限らず他の楽器の先生方と繋がって、宮城県ご当地のプロ吹奏楽団の創設や、東北でのトランペットフェスティバルの開催が目標です。もっと身近でプロの演奏が観れる、聴ける機会が増えることで、楽器に憧れを持って取り組んでいる皆さんのより良いイメージ作りにも繋がっていってほしいという、目標というか願望ですね(笑)
服部 それは楽しみです(笑) そういえば、東北ではあまりトランペットのイベントってないですね。佐藤先生は人あたりがいいので、これからさらに色んな方と繋がっていって、色々企画していただきたいと思います。僕もリペア関係はバックアップいたしますよ!
今回はお忙しい中、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。また、奏法やワンポイントレッスンみたいな対談の機会がありましたら、ぜひお願いいたします。
佐藤 こちらこそありがとうございました。
お答えしていく中で自分の今や今までを振り返ることができてとても有意義でした!
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