まず最初の題材に選んだのはWiiのRPGであるゼノブレイドである。ストーリーゲーム性とも評価が高く、人によってはJRPGの頂点と評する人もいるほどのゲームであるが、このゲームの物語はいかにして感動を構築しているのだろうか。なお、ネタバレを豊富に含んでおり、今後ゼノブレイドをプレイする予定のある方は注意されたし。

物語は過去の戦争の回想からはじまる。それから主人公達の平和な日常が描かれ、敵の襲来によりヒロインが死に、復讐のための旅がはじまる。

JRPGにおいて「復讐」という導入は根強い人気がある。DQ4、DQ5に代表されるようなDQシリーズやテイルズオブファンタジア、ロマサガ2等、親族が殺され、あるいは住んでいた村等が蹂躙され、それが主人公あるいはプレイヤーの動機付けに用いられるわけである。

しかし復讐自体がテーマのRPGとなると数は少ない。上にあげた作品達も復讐自体がテーマではない。復讐すべき相手は途中で倒れたり、その背後により大きな存在が現れたりして、復讐という目的は途中で薄れ、より大きな目的を見出し旅を続けることがほとんどである。

ゼノブレイドもその例に漏れず、ヒロインが復活するという形をもって復讐劇としての導入部に終止符を打つことになる。














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前述したような物語の構造を把握し、一般化する方法は、レシピを書くための有用な手法であると言える。だが、当工房では物語構造に留意しつつも、それをさほど重要ししない。

我々が重視するのは「感動を生み出す仕組み」である。ここで言う感動というのは極まった感情としての感動だけではなく、もっと広く感情の動き全般を指す。

キャンベルが言うように神話の構造が物語に力を与え、感動を促すということも十分にありえるだろう。だが、感動を与えるのはそれだけではない。例えば主人公の境遇が自分と重なり感情移入したり、文体(あるいは俳優の演技、あるいは絵、音楽等)に何かを訴えかけるだけの力が宿り、それが感動の主たる要因となりうることもありうる。

当工房の仕事は「感動」を生み出す最小単位の仕組みを見つけ出し、仕組み同士をを並べ、組み合わせ、心を揺さぶる物語を作るための「レシピ」を書き出すことである。


では、解体をはじめよう


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物語を解体する、といっても、料理のように材料を列挙することはできない。レシピであれば材料とその分量を記し、手順を書き、諸々の注意書きを加えれば、作り手が迷う余地は少ない。

では物語のレシピを作るためには、どのような解体が必要なのか。おそらく日本で一番親しまれている物語であろう桃太郎を例に考えてみよう。

まず物語構造から分類する方法が考えられる。

物語構造というのは有名どころでいくと「起承転結」や「序破急」などのことである。

「起:桃から桃太郎が誕生する」「承:冒険に出て仲間を集める」「転:鬼ヶ島で鬼を退治する」「結:財宝を持ち帰る」という風に、物語を区切ってしまう。区切ってしまったら、その主たる要素を抜き出して一般化する。つまり物語を類型化する手順に近い。桃太郎であれば「起:親のいない子供が登場する」「承:目標のため力を蓄える」「転:敵を撃退する」「結:富を得る」という感じで一般化してしまうと、世界中の様々な英雄譚とほぼ同じ構造を持っていることが理解できる。

この物語の一般化、あるいは構造化はアメリカなら神話学者のジョセフキャンベル、日本ならキャンベルの影響を受けた大塚英志あたりが好んで用いる手法であり、物語への転用も推奨されている。

彼らの主張はこうだ。

「無数にあった物語の中で、少数だけが今に語り継がれているものにはそれなりの理由がある。生き残ってきた神話や童話には力がある。だから、その構造を転用することで、物語に力強さを与えることができる」

蠱毒を思い出してしまうような理屈であるが、実際ジョージルーカスもこの理論を用い、スターウォーズで取り入れられたなんて話もある。

 

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