この世は、令和のこの時代はなんと百歳まで生きられそうらしい。
百歳は一部のお目出度い方、否有難いお方。
九十歳はあの世行きをお待ちかねの方々。
八十歳は病院と薬のお世話になる方々。
となると
七十歳はどんなもん???
永山則夫小説集成「破流」
共和国刊
3400円+税
2023 10 30初版第一刷発行
昭和22北海道生まれの永山則夫が中卒後上京。18歳10月から東京で一人銃殺。4日後京都で一人銃殺。10日後函館で一人銃殺。さらに10日後名古屋で一人銃殺。ジャズ喫茶店などで働いていたが約四ヶ月後次の銃殺未遂で逃走中逮捕され収監。刑務所内で書いていた小説や詩を一冊にまとめたもの。
収監三年後には「無知の涙」を出版。裁判などには出ていてその合間に多くの小説を書いていた。著書の初めが「木橋」。
自らの半生を書いたもので永山=n少年と表現している。が数ページ読むと繰り返す貧乏話と兄弟から受けた暴力話にいささか嫌気がさす。その合間に繰り返す泥棒と家出、登校拒否の日常を書いたもの。
中学時代少し美術部活動に入っており挿し絵イラストもある。
他の小説も同様内容で余り印象は良くない。刑務所前に殺した四人のかたにほんの少しばかり反省弁小説があるが自らの貧困&暴力ゆえにとの言い訳もしているだけの内容だ。
50歳死刑執行までこの世にしがみつ、自分の骨を拾ってくれるのは……などという心情も書かれている。刑務所内で結婚と離婚もしている。
この本は去年秋図書館にリクエストしてようやく入手したが
タイムリーというか
先日50年余逃亡者の昭和29年生まれ桐島聡が70歳で癌死。数日トップニュースだった。50年潜んでいたのか捕まらなかっただけなのか働いていたが癌を煩い死んだ。死を自覚して「本名で死にたい」と望んだようだがそれは自分の骨を拾って貰いたいという事だと思う。
死刑囚もこっちの逃亡者も
自分の骨を拾って貰いたい
同様の心情を持っていたことに驚く。
また
その結果、死刑囚のほうも逃亡者のほうも遺体引き取り拒否で火葬骨引き取り拒否だった。
この分厚い本を発行された方はそれなりに立派な方かもしれない。
刑務所内の永山則夫を応援していた方々のおかげなのだろうが
どうみても貧困と身内暴力の日々で生育したことを理由にグチグチ書いているのが受け入れたくないとも思う。
ただ
同じ昭和20年代の読者、私としては貧困や身内暴力と無縁で生育してきたことに感謝だ。
逃亡者桐島聡も貧困や身内暴力はなかったよう。
だけど
遺骨引き取り拒否の身内感。
これは当然だろうなぁと思う。
死刑囚は毎日刑務所内で栄養とって寒暖快適なところでノートを広げるだけの生活を送っただろうがその間身内に世間から浴びる礫は相当なはず。
逃亡犯も仕事してバーで飲んで銭湯通い。けっこう能天気な生き方もしたよう。その間あちこち交番掲示板に張り出された身内顔写真がある50年身内には地獄だったと思う。
なんとも救いようのない二人のニュースと著書だった。
骨を拾って貰いたい
は同じ昭和20年代としては同じだ。
当方、四男と次女の行く末は実家の墓にはいれ無い。だもんで
元気うちに墓を買ったコト=私の安堵感♥️
宗派同じだし、あと数年後には間違いなく両親兄弟達が待つところに行ける。
これ
七十歳私の最高の安堵感。
それともう一つ二件共通はどちらの事件も直ぐ警察は犯人を捕まえてないこと。
永山は新宿で働いていたし
桐島は藤沢で働いていた。
どちらも首都圏だよねぇ……警察官いっぱいいるのに。
私は七十歳だよぉ~!!
高齢者だぁ!
立派なお年寄りだよぉ~!!
筋金入りお年寄りでもう墓持ちです(笑)