△男が、養護学校の高等部を卒業し、お弁当屋さんで、働くようになって、10年になる。

親は…
学校教育を卒業すると…
もう、その後の成長に、目を向けない傾向があるが…

△男の成長ぶりは、
働くようになってからの方が、著しい。

「自閉症」については…
以前より、知られるようになり…
「ABA」等、系統だった教育も始まり、素晴らしい事だと思う。

ただ…

どんなに時代が変わっても…
母親(父親)の、愛情、直感、情熱に勝るものはない。

自閉症児にかかわらず、子供は…
一人一人違う。

How to なんか、ない。

「私はベテランママ」なんて、驕りを持てば、足をすくわれる。

反対に…
もう「親離れ子離れ」していい歳なのに…
思い通りに育たなかった「子」に、責任を感じて、自らを責める「母」

「あなたのせいじゃない!」

「子」の人生の責任は、その子自身にある。



昨年は…
我が家にとって「巣立ち」の一年だった。

《3月》×男が、大学の寮で一人暮しを始め…
《10月》〇子が、結婚…

ガランとした子供部屋で…
幼い×男が遊んでいた電車のオモチヤをみつけたり…
〇子と、bag 作りにはまっていた時の端切れをみつけたり…
そんな時は…
不覚にも、涙がこぼれる。
(悲しいわけでも…寂しいわけでもないんだケド…)

この30年…
とにかく、毎日、忙しかった。

「家業手伝い」「子育て」
家族の真ん中に立つ…
「交通整理」のオバハンって感じ…

やっと「自分の時間」と、思ったら…

末期癌だし…
私の人生、もう、おしまい…?

ケド…
「子育て」の責任をはたす事ができたんだから、御の字だ。

いろんな批判は、耳にするけど…
△男のような「障害者」は、経済面では、国から守られている。

ありがたい事だ。


私と△男は、夜、並んで寝ている。
(以前は、明け方に、よく、てんかんの発作を起こしたので…)

△男の寝顔を前にすると…
「ごめんね」って、泣けてきちゃう。

君は、十分自立していると思うけど…
もっともっと、そばにいて…
君を守りたかった。


「育児」は「育自」

私は…
人生の全てを…
「君の子育て」から、学んだ。


「子育て」っていうと…

生まれた直後から…
「母乳の飲み具合」「体重の増え具合」「寝返り」「ハイハイ」「歩き始め」「言葉の出具合」

母親は、競争を始める。

大きくなれば…
「進学」「就職」「結婚」「出産」


全てをハイクリアして、
鼻高々になっている親を見ると…
「バッカじゃない…?」
と、心の中で思うが…

△男を授からなければ…
私は、その「バッカ!」に、なっていたと思う。


「命」とは…?
「生きる」とは…?
「仕事」とは…?
「幸せ」とは…?

△男と共に生きる事は…
それらを、自分自身に問いかける日々だった。

「逃げ水」のように…
答をつかんだと思うと…
また、やり直し…


神様からは…
次々「宿題」を渡される。

「難病」「癌」

今日は、また、体調が悪い。
熱が出て、足が腫れて、痛くて歩けない。

でも…
こうしてブログを書いたり…
原稿を書いたり…
本を読んだり…

「楽しみ」は、たくさんある。


「試練の時」は「学ぶ時」
「悲しい時」は「心をリセットする時」
「つらい時」は「神様と向き合う時」







裕子