はなやいだ夏は終わり、どこか陰鬱な冬へと、確実に向かっている。
乾いた空気、鮮やかな並木道、一日の終わりを告げる長い光は、全てを黄金色に輝かせる。
11月…
24年前、君が自閉症だと告げられた日の事を忘れない。
なんて未熟な母だったんだろう…
その日の晩、親子心中を思ったよ。
でも、とても…
愛らしい君の寝顔を、傷つける事なんて、できなかった。
守りたい!
生涯をかけて、君を守り抜く!
でも…
いつも、気持ちばかりが先走り…
子育ては、空回りするばかり…
他の子と君を比べては、落ち込み…
君の問題行動は、母の私のせいだと非難され…
でも、ある日、
君の中にある思いやり…
「幸せ」を感じる心をみた時…
もう、周囲からそしられる事など気にしない!
君から始めよう!君の心から始めよう!
子育ての主役は、母の私じゃない、君なんだと気づいたよ。
ごめんね…
本当に、ごめん
せめて、あと10年、君を守り続けたかった…
贖えたのかナ…?
あの一瞬の罪を…
愛せたのかナ…?
ちゃんと君を…
生きて行けるよネ!
もう、私がいなくなっても…
きっと、大丈夫!
もう君は、立派な大人!
立派な、自閉症の大人になったよ!