女性は、仕事を続けて行く上で、たくさんの選択を迫られる。

結婚、出産、育児、正社員か?パートか?


56才の私が、給料というものを貰っていたのは、はるか昔だ。

長女の出産を機に、辞めた。

障害児を含む子供3人となれば、どのみち続けられなかっただろう。


ずっと、自営の夫を手伝ってきた。

電話受付・夫のスケジュール管理・経理・広告宣伝

税制上は、私は扶養者ではなく、事業専従者で、給料が支払われている事になっているが…?

実際は、僅かばかりの自分の貯金をとり崩してばかり…


子育て真っ最中の頃、よく思った。

「こんなに忙しいのに…無給なんて…」


やっと、子供達の自立が見えてきた頃、早期の乳癌が発覚した。

50才だった。50代なんて…まだ若い!

癌を克服し…持病の潰瘍性大腸炎をコントロールして、もう一度、社会へ出て働きたいと思った。


妻や母ではない自分を、もう一度取り戻したくて、もがいていたのかもしれない。


手始めに…これまで培ってきた主婦業を活かして、手作りのケーキを喫茶店に置いてもらった。

評判がよく、予約も入るようになった。

…が…再発……

次は…ショッピングモールのレンタルボックスに、手芸品を置いた。

ビーズアクセサリー・バッグ…etc…

その中で…リカちゃんの洋服がヒットした。

数百枚は売れた。注文も入った。

…が…再発…


末期癌となって…自己実現どころではなくなった。

残りの命の全てをかけて…子供達をそれぞれの道へと送り出さなくては…

この春、次男は大学生になり…

先週、長女は入籍をすませた。


人生の中で、どちらかしか選べない曲がり角はたくさんある。

選ばなかった方を羨んでいるあいだに、大切なものを失う。


「仕事の一番の目的が、お金を稼ぐ事」だとしたら…

私も自閉症の息子も…それを、満たしていない。

でも、それでいい…それしかできない。


先週…痛みと不安で鬱々としながら、手元にあった「かりんとう」を、袋から食べていた。

それを見ていた自閉症の息子が…

「ちゃんとお皿に入れて食べなさい!」

幼かった彼に、声かけしていた私の口調にソックリだ(笑)

「そうだネ」

私が二人分をお皿に盛っている間に、彼は手早く緑茶を入れてくれた。


君と二人、こうしてゆっくりとお茶を飲む…

小さくても…この本当の幸せを感じられる自分でいたい。


君と共に、ゆっくりと…

まだまだ、このまま…

君の母ちゃんでいたい……



<リカちゃんのお洋服>

かわい~い? 帽子も手作り…

(最近は作ってまセ~ン…老眼入ってる…?)