「二人に一人が癌になる」と言われているが、自分はその中には含まれていないと思っていた。

癌になって「死」を思わない人はいないだろう。

でも、癌は治る病気でもある。

6年前早期の癌が見つかった時も、中期に転落した時も「治る」と信じて立ち直った。

だからその時「癌が治らなかった人」を見聞きするのがイヤだった。


さ~て、私は今その「イヤな人」だ。


「あと数年はあるのかナ?…それとも来年の今頃はもういないのカナ?」

気持ちは揺れる。


「死」を口にする事はタブーだ。何故なんだろう?

別れがつらいから…?

むなしいから…?

負ける事だから…?

コワイから…?

私は全てあてはまる。できる事ならその現実から逃げ出してしまいたい。


逃げ出したい気持ちは、長男が自閉症だとわかった時も同じようにあった。

…シブシブ…仕方なく向き合ってきた。

人は楽しい時より、つらい時に成長する。

「息子の障害」「死」…向き合い続けた事から得たものは、目には見えないけどたくさんある。


息子から学んだ一番大きなものは「幸せとは何か…?」

世界中を探し回らなくても…大金持ちにならなくても…障害者でも…末期癌患者でも…ОK!

幸せはいつでも、ここに、あたり前の日々の中にある。

でも、それを感じるためには、「幸せを感じる心」を育てないといけない。

(これが実は結構大変…人間はバカだから…私の事ヨ)


「死」と向き合い続けて得たものは…

「命の奇跡」「命の輝き」それを…ただ並べた美しい言葉じゃなくて…体感できるようになった事。

絵空事じゃなく…それを体感した時…感謝の思いで涙が止まらなくなった。


「末期癌」となってから…時空が変わった。

それまで、大切、ステキと思っていた事が反転した。

体力はひどく衰えたのに…日々…片付く仕事は増えた。(一日ってスゴイ!)

「終末期」となれば…痛みどめなどで意識も朦朧としてくるだろうし、動けなくなるだろう。それまで、悔いのないように「自分のやるべき大切な事」一つひとつを心を込めてやって行きたい。


「生」と「死」の境はたったの一秒だ。


死んだ後の事は心配しても仕方がない…

それよりも、「今」を大切に積み重ねて行く事…それが本当に生きるという事…

だから…末期癌患者もそうでない人も…みんな同じ…そう思う。



最後まで読んで下さってありがとうございました。

…今日は重い内容でした…


  裕子コスモス