ニニキ一行は、イサナギが生前、政(まつり)を執られたタガに詣で、幣(ぬさ)を奉げた後、アメクニタマ(天国玉・金山彦の子)の館があるミノ(美濃)に寄りました。この時のアメクニタマ翁の喜びようは大変なもので、翁の言うには、「私はある不幸な出来事があって、家を嗣ぐ我が子アメワカヒコを失い、途方に暮れていましたところ、幸いにカスガ(春日神社祭神)から子宝に恵まれるというウリの種を得て植えたおかげで、今ここに我が娘オグラ姫の夫として高貴なタカヒコネ(アチスキタカヒコネ・大国主の子)をめでたく迎えることができました。これはもう我が子が新しく生まれたような喜びです。ニニキネの旅の前途を祝って八十人の供の者達一人一人に、一籠(ひとかご)ずつマクワウリを用意しましたので、私とこの喜びを分かち合っていただきたいのです。どうぞ皆様の咽をうるおして下さい」と言いつつ、良く熟れた甘いマクワを川で冷やして配りました。
 おもわぬごちそうに、八十余神は皆喜び感謝しつつ、スワの神(現・諏訪神社祭神)の道案内で山路を進み雲路(くもじ)に分け入って、無事シナノ(科ノ国・長野)に至り、カイ(甲斐)に行き、国見のためにハラミノ山(逢莢山・現富士山)に登頂しました。