巫女のウズメ(天鈿女・あまのうずめ)が弓弦(ゆみづる)を打ち鳴らして音に合わせて舞い歌うのを見ていたアマテル神は、後に桑の木で造った六弦琴(ムユズゴト)をワカ姫(天照神の姉)に賜わり、ワカ姫はこの琴を睦(むつ・六音階)に弾き分けて、葛(カダ)、蕗(フキ)、曲(カナデ)、茗荷(メガ)、羽(ハ)、巾(ヒレ)の音を楽しみました。この六弦の琴は、あたかも酔って眠る大蛇(オロチ)に六弦(ムスジ)の糸を掛けて捕えた如くに八雲打琴(ヤグモウチ・八雲琴)と命名しました。
 又、葛垣琴(カダガキ・日本版琵琶の原形)はイサナギ宮の玉垣に茂る葛(カダ)の葉を打つ糸薄(いとすすき)を見て携帯に便利な三弦の琴を造り、その形は丁度葛の葉と花をあしらったものでした。
 五弦を張った五弦琴(イスコト)は、弾くと五臓(ごぞう)に響いて血の巡りを良くし、この琴の音に合わせてワ(地)のアワ(天地)歌を教えたところ、皆覚えが良くなり歌が広まったので、イサナギの垣打つ糸薄(いとすすき)に因んで五弦琴(イスコト)と名付けました。

 カダ(葛)、フキ(蕗)、カナデ(曲)、メガ(茗荷)、ハ(羽)、ヒレ(巾)の六音階の琴の音の名称は、大蛇退治やハタレ頭(カミ)、シラヒトコクミ等の大乱を無事勝利に導いた重要な戦略でした。先にアマテル神が瀧の落ち降る渓流で、「ハタレ破れ」の願いを込め禊して得た呪いの種が、後に六種の有用な武器となり、この種をアマテル神から賜わった武将達の活躍により無事内乱も収まり平和な御世に戻りました。