One Letter From ROUGE(インタビュー)
A-toより。 1986年11月
「A-to」というのは大阪のミニコミ誌で
ミニコミ誌とはいえ、かなり本格的な活動をしていた雑誌でした。
RAPの初期から解散まで毎号に渡って記事を取り上げていました。
RAPはそのA-toに絶大な信頼を寄せていたようです。
(全部の号を入手できなかったのが残念です)
アルバム「HYSTERIA」ではライナーに編集長の長島氏もコメントを寄せています。
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A-TO様
お元気にしていますか?RAPは今、次のレコード、
RAPにとって初のミニLPの曲の、最後の仕上げの為に
リハーサルに励んでいます。
何度かお話しましたが、
今回のLPのコンセプトは簡単に言ってしまえば
”命”と”母性”がテーマです。
ATO、Vol3でのインタビューで言った理想に少し近づきつつあります。
かつてからの私の理想であったバビロニアの女神、
イシュタル(全てのものを産み出す子宮、
母性の象徴であると同時に生命の敵を破壊する戦いの女神でもあります)
を題材にしました。タイトルは「HYSTERIA」5曲入りです。
全曲新曲ですが、曲によっては何度かライブでやっていたものを
発展させたものもあります。
言うなれば「LEGEND」その後。
(三部作の物語は実はLEGENDで終るのです)
タイトル曲「HYSTERIA」では偽りやまやかしに騙され流されていく
男達を見て「私達にはHYSTERIAがあるから大丈夫!
HYSTERIAは生理的な嫌悪には絶対、服従しないもの」と
女達に語りかけています。
女性特有の感情に”ヒステリー”がありますが、
それは子宮から来ているものとされています。
女性自身ヒステリーの持つパワーを間違って使い、
また社会も”悪しきもの”としてそれを封じようとしていますが
本来それは”守るための感情”だと思うのです。
イシュタルが与えてくれた、いつか母親になる為の者の
”つよき心”だと思うのです。
「マタニティーブルー」という曲は放射能の雨の中
若い妊婦の不安・・・
・・・子供を取られそうになった母猫の心理・・・です。
「MASUI」これはライブでご存知ですよね。
歪んだ社会を保育器に例え、その中で腑抜けにされてしまう子供達。
何も考えず、刺激だけを求め楽しく遊び暮らす事ばかり考えている。
そしてその中に充満する、人間としての当たり前の倫理さえ
痺れて解からなくしてしまう、甘き麻酔。
目覚めよ!そして外気に飛び出して!という歌です。
「ランドスケイプ」という歌は色々な意味を持つ歌で、
疲れきった人に安らぎを与えたい・・・という意味もありますし
ある人工中絶をした友人の独白にヒントを得た、
自分の中に息づく命の鼓動が彼女の母性を呼び覚まし
・・・けれど産む事の出来ない悲しみ・・・
せめてもう一度生まれ出る時は幸せになって欲しいと願いを込めた歌でもあります。
もう1つは私の母への想い・・・
大した感謝もせずに今まで生きてきて、ふと振り返ってみたら
私はいつも母の愛に守られていたって事に気付いたのです。
男女の愛も突き詰めると限りなく両親の子供に対する愛に近くなる
・・・と最近、実感しています。
誰かを生涯かけて愛した事のある人には、きっとわかって貰えると思いますけど・・・
残念ながら私はまだ若すぎて”完全な愛”を暗中模索の段階ですけれど・・・
結局”母親”に全て結びつくのです。
私達は”子宮を持つもの”だからこそ、
もっと命について真剣に考えなければならないし
それが女であるRAPのやるべき事なのではないかと思うのです。
良い社会も倫理も全て”生きる”ためでしょ?
そして「輪廻」はアルバムの序曲であり終曲であり
RAPの今迄のレコード、あるいはこれから(「HYSTERIAの後)出す
レコードを結ぶ鍵になると思います。
長くなりましたが、以上が「HYSTERIA」の大まかな解説です。
あくまでも私の”想い”であって聴く人それぞれに
有機的に受け取って貰えたら嬉しく思います。
ドラムも強力になったし期待していて下さいね。
ずーっと昔から暖めていたコンセプトだけに
今迄以上にメンバー全員、熱を入れています。
それでは今日はこのへんで!
1986年11月7日 ROUGE
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