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第3話「ハンバーグ」
俊哉は、はじめて会う人の胸で、号泣していたあたしの背中を、涙が止まるまで、さすってくれた。
涙がやっと止まったころに、やっと俊哉と目があったら、泣いていた自分が恥ずかしくなってきた。
抱きしめられていた体が、反射的に、俊哉から離れ、
「・・・・・ごめんなさい・・・」
あたしは、俊哉に、謝っていた。
俊哉は、笑顔になって、あたしに、
「いいんだよ。」
そう、いわれたら、また涙が出そうになった。
たぶん、ここに俊哉がいなかったら、あたしは・・・・
こぼれそうな涙を拭いて、あたしは俊哉に聞いた
「なぜ、ここにいたの?」
「まぁ・・とおりすがりっていうか・・・ここ、思い出の場所なんだ」
俊哉が一瞬、見せた横顔に、胸がきゅっと苦しくなった。
俊哉は遠くの景色を見つめていた。
太陽はもうすぐ消えていきそうだった・・・・
ふと、我に返って、時計を見れば、18時を過ぎていた。
「あ・・・もうこんな時間はやく帰らなきゃ・・・」
落としたスーパーの袋を拾って、駆け出そうとしたとき、
腕をいきなりひっぱられた。
俊哉はまっすぐ、あたしの目をみて、
「家まで送るから」
といい、あたしが、大丈夫と言おうとする暇もなく、ひっぱられていった。
家につくと、俊哉は、肩をぽんっとたたいて
「もし、またなきたくなったら、あのマンションの屋上で待ってるから」
そういって、くるっと背を向けて、じゃぁという感じに手をあげて
行ってしまった。
助けてもらったのに、名前だけしか聞かなかったことと、お礼をまだちゃんと言っていなかった。
あたしの足は、まだ遠くで見えている、俊哉に向けて、走り出していた。
あたしのかけてくる足跡に気づいて、俊哉は振り返った。
俊哉においつくと、俊哉は驚いたような表情をしていた。
「助けてもらったのに、お礼もしていない・・・良かったら、夕飯食べていかない?」
あたしがそういうと、
「食べる!」
子供のような笑顔で、答える。
俊哉を家に入ってもらうと、家の電話の留守電が、点滅していた。
留守電の内容は、聞かなくても分かってしまう。
それでも、仕方なく、押すと
「あ・・・俺だけどさ、ごめん。はやく帰るって言ったけど、急に残業しないといけなくなって。
悪いけど、先に食べてて、寝ていいよ」
そんな、留守電をすぐに消去してしまった。
ハンバーグを作るのを、俊哉は、じっと見ていた。
フライパンで、ハンバーグが焼けるにおいがすると、
俊哉は、
「おいしそうだな。」
子供のように、じっとそばで、見ていた。
テーブルに並べて、
「ン・・・うまい」
そういってがっついて食べている姿を、今度はあたしが見ていた。
あたしたちは、余計な言葉は交わさなかった。
俊哉も、なんで泣いたのかとか、どうしてあんなことしたのかとか
そんなことは一切聞かないし、
俊哉自身のことも、語らない。
あたしも聞かなかった。
俊哉は食べ終わると、ごちそう様と手を合わせて、また笑顔だった。
あたしがお皿を洗っていると、
ソファでいたはずの、彼の姿が見あたらなかった。
一瞬、帰ってしまったのかと思ったが、
よく見ると、ソファに横になって、すやすやと寝息をたてていた。
タオルケットをそっとかけてあげた。
なんだか俊哉が小さい子供に見えてきた。
まだ、当分隆は帰ってこないだろうし、もう少し寝せてあげよう。
そう思い、あたしもソファに座ると、疲れのせいなのか、眠気とともに、眠りについてしまった。
第4話へつづく・・・
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この小説つくってる最中、あたしも、一瞬ねてました(笑)
↓睡眠不足はお肌の敵よ。ぽちっとな。
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