毎年この季節夜のお散歩が日課になる。

近所の公園にぐるりと植えてある金木犀の香りを楽しむためだ。

歩いて公園が近くなると少し肌寒い夜風とともに
甘く透き通る香りが鼻先を微かに触れる。
妖精がふわりと目の前を通るようにそっと、香る。

時々木に顔を近付けながらゆっくりゆっくり歩く。

昔は歩きながら空を眺めカシオペア座を探していたのに今はもうどれか分からなくなってしまった。

そうして肺の隅々まで金木犀の香りを纏った酸素を取り込んで幸せな気持ちで家に帰る。