【友罪/薬丸岳】
同じ日に同じ住み込みの仕事を始めた同い年の益田と鈴木。
ジャーナリスト希望の益田はお金が貯まるまでのつなぎとして始めたステンレス加工の仕事だったが、人当たりの良さで周囲の人間と付き合っていく一方、鈴木は他人と関わろうとはしない。
はじめは鈴木にいい印象を抱いていなかった益田だったが、過去に自殺した同級生と鈴木を重ねて見ていた。「死んだら悲しい」、未だ過去にとらわれる益田に対し、鈴木は次第に心を開いていく。
しかし、2人の友情も長くは続かなかった。過去に益田の地元で起きた殺人事件。犯人は当時中学生。2人の子どもの眼球を切り取って殺すという、世間を震撼させた残虐な事件だった。
少年Aの現在を追う記者、ネット記事も少なくはない中、益田は鈴木と少年Aをつなぐ写真を見つけてしまう──……
問題提起作品。
友達が過去に大罪を犯したと知った時、友達を続けていけるかどうか。
被害者遺族を気持ちを考えれば、少年だったことを理由に裁かれることも無く、平然と社会で生きていることも、友人を作って笑って生活していることも許せないこと。
それでも毎夜、悲鳴に近いうなり声をあげて、自傷し、死にきれず生きてきた鈴木を益田を知っている。同僚、そして友人になってから知った鈴木の正体に、友人として、ジャーナリストとして益田は葛藤していく。
鈴木側から見れば、ようやく見つけた居場所が過去の罪が公になったことで、それまで仲良くしていた同僚からも「ケダモノ」と呼ばれ、「あんなもの」と称され、「金になるネタ」として売られ、記事やネットでプライバシーを侵害される。
現実でもネットで『事件』『犯人』『顔』『家族』『仕事』『現在』で検索すれば、何年も前の事件でも出てきてしまう時代。それだけ重大な犯罪を犯したのだから仕方がない、と思う一方では、それを面白がる側の人間になりたくないとも思う。
類似の事件の被害者遺族には受け入れがたい内容かもしれない。ただ、友人として益田が鈴木に宛てた“手紙”が鈴木に届き、2人が友人に戻ってくれればいいと願う。せめて1人、友達を作ることを許して欲しい。
原作では周りの人間も「手の平を返す」側や「どう生きていくか見ていきたい」側など、それまでの関係と正体が知った後の態度の変化が丁寧に描かれているので、登場人物のポジションが変わった同作の映画が観たいとは思わない。
私自身も、「鈴木の残虐性は更生されたのかどうか」を疑いながら読み進めた作品だった。
重松清さんの【十字架】という作品を思い出した。
【孤狼の血/柚木裕子】
相変わらず女性作家さんとは思えない骨太小説。
舞台は昭和63年の広島。
呉原東署の暴力団係に配属された日岡は、班長・大上の下で捜査のイロハを学んでいく。
大上の違法捜査は日常茶飯事。暴力団の間でも顔は広く、大上の名前は知れ渡っている。尾谷組の若頭・一ノ瀬とは馴染みの店で酒を飲み交わす仲だ。
暴力団が絡んだ金融会社社員の失踪を捜査していくと、既に男が殺され遺棄された可能性が濃厚になっていく。組同士の報復合戦が激しくなっていく中、組のメンツをかけた正面衝突を避けるために大上は自分にしか出来ないやり方で最悪の事態の回避にかかる──……
登場人物がほぼほぼ強い広島弁のため読みにくいかと思ったけど、方言があるからこそ男の骨太さが増す。そして女性の色気が増す。
序盤から大上さんの危うさを察する。序盤から日岡を気に入り、育てようというという姿勢が死亡フラグに思えて仕方がない。大上の周りの人もソレを察しているのがよく分かる。
組を解体せず“共存”していく町。どこの組が存続するにふさわしいか調整する警察。暴力団を考えると、泰平の世では武士の仕事がなくなり、武士としての誇りも邪魔して新たな文化が流れ込んでくる中でソレを受け入れられず、生きにくい社会を生きていたことを思い出す(思い出す?
なかなか重い作品を続けざまに読んでしまったぞーーーーー!!