【ラヴィアン・ローズ/村山由佳】
藍田咲季子は結婚後は仕事を辞め、趣味のローズ・ガーデンを通じてフラワーアレンジメント教室を開き、その生活感をムック本にとりあげられるようになった。
しかし、実生活ではデザイナーの夫に仕事もプライベートも管理され、何をするにも夫の機嫌を窺わなければならない。
しかし、新たに仕事で携わることになった憧れのデザイナー、堂本と知り合い、咲季子の心境に変化をもたらす。
堂本は夫に否定され続けたことで自分の意見が持てなくなった咲季子を見抜き、容姿も、仕事も、自信が持てるように導いていく。いつしか2人は一線を越え、秘密の逢瀬を重ねるようになる……
中盤までは昼ドラのようなベッタベタな不倫話。世間知らずの奥様が仕事人間のモラハラ夫と結婚し、「君は世間知らずだから」と罵られ続ける生活の中、刺激的な才能ある年下男性に惹かれ不倫に走るの仕方ない、そう思った途中までは。
半ばで『コイツは大丈夫か?』と警戒をするセリフから、作品の毛色ががらりと変わり始める。咲季子、夫、堂本……3人が皆、キャラ変。
男の見栄と孤独、自分にとって唯一のものを失わないように必死になるがあまりこじらせたり。救世主になるかと思った男は、最後はまさかのクソモブ程度の存在感。幸が薄い人間が引き寄せる負のストーリーは、同情も抱けない結末だった。
【カッコウの卵は誰のもの/東野圭吾】
元トップスキーヤー緋田宏昌。妻の死後、一人娘・風美の才能を開花させるため競技者から指導者に転身した。ある時、亡き妻が残した新聞記事の切り抜きを見つけ、風美が自分の娘では無いことを知る。
妻は自分が遠征中の間に何をしたのか。風美は誰の娘なのか。その真実を知る風美の実の父親と思われる男性は、バスの事故に巻き込まれて意識不明の重体。彼は事故前に風美と接触していた。
運動能力と遺伝子の関係を研究する科学者がこの作品1番の功労者。才能ある緋田親子に目をつけたことをきっかけに重大な真相に近付いていく。
真相が明らかになっても、娘との生活を守りたい!というよりは、常に真相が明らかになることを覚悟して、“指導者”の立場で娘と距離をとっていた印象。
救われて欲しい命がいくつかあった。失われた命の方が、親であり、兄弟に感じられた。風美に当てられた脅迫状の犯人も、子を思うがあまり……だったと思うと、やはり緋田が1番客観的で冷静な大人に見えてしまった。でも、それも娘を守る父親の手段なのかもしれない。
作品は半分が地元新潟の長岡市が舞台。東野圭吾作品でとりあげられることは、それは結構、嬉しかったりする。