【リターン/五十嵐貴久】

散歩中の男性が見つけたスーツケースの中に入っていたのは、10年前ストーカー女・リカに拉致されたまま行方不明になっていた本間だった。両手足が切断され、眼球や鼻も削ぎ落とされていたが、その状態でも本間はつい最近まで生き続けていたことが分かる。

尊敬していた上司はリカが残した凄惨な殺人現場を目撃して以来、心を壊したままだ。呼びかけには反応せず、今後の快方は望めない。
コールドケース捜査班の尚美は、同僚の孝子と共にリカの行方を追う。本間という自分を愛してくれる存在を失ったリカは、出会い系サイトで新たな男性と出会おうと動き始めていた。それを利用してリカと接触を図った孝子の婚約者が音信不通になり……


歪んだ女の狂気そのもの。ほぼ顔もなく、腕で抱きしめてくれることもない男性をどうしてそこまで愛し続けることが出来るのか。束縛、執着、支配欲……裏切りも、欺くことも絶対に許さない。何をするか分からない女ストーカーの恐ろしさ。本能で暴走する相手をまともな人間が対峙するのは難しい。

犯行の残虐表現はそこまでではなく、想像を超えるリカのラストじゃないなーと思ったら、最後の1ページで『この女……』

不自由な男を献身的に支える女……聞こえはいいけど、逆の立場なら耐えられない。


【杉下右京のアリバイ/碇卯人】

ドラマ【相棒】の映画化された小説も何冊か読んだことがあるけど、それよりも話がまとまっていて読みやすい。特別版のドラマ化をされてもいい。


【アリバイ】では、杉下さんがロンドンと香港の2カ国でそれぞれ事件に巻き込まれる二作品が収録。冒頭から現地警察に怪しまれるものの、早い段階で“捜査に首を突っ込む”いつもの展開に。


「シリアルキラーY」では、ロングヘアの若い女性を狙った連続殺人事件の捜査に加わる。犯人は射殺され事件は解決したように思われたが、裏では殺人犯を利用した新たな殺人が仕組まれていた。


「シリアルキラーY」は事件関係者が少なかったこと、相棒の犯人の特長【得意分野を持っている人】が今回も登場したので、あやしいと思われた人物がそのまま犯人だった。

犯罪プロファイラーvs杉下右京。誰であろうと関係ない、サクッと真実を明らかにしてしまう杉下さんの可愛げの無さが最高です。登場人物のキャラが立っているので映像として頭の中で再生しやすい作品でした。