【世界から猫が消えたなら/川村元気】
余命宣告を受けた30歳の郵便配達員の前にアロハシャツを着た悪魔が現れた。
悪魔は「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは1日だけ命を得る」という取引を持ちかける。
消すものは悪魔が決める。
生きるために“僕”は、消すことを決める。
電話、映画、時計……そして悪魔は猫を消すことを“僕”に持ちかける。
本屋大賞ノミネート作品!文芸書発売当初から気になり、文庫化を待ちわびていた作品でした。
30歳独身男性。母とは死別し、父親は隣町で時計店を営んでいるが、母の死後四年間会っていない。唯一の家族は猫の“キャベツ”だ。
僕の前に現れた悪魔の取引は、
世界から何かを消す代わりに、命が1日延びる。そして、消す前に1度だけ“使う”ことができるオプション付き。
電話、最後誰にかけたいか。
映画、最後何を観たいか。
何が消えて世界はどう変わるのか。
設定が壮大なため、世界的な混乱が起きるかと思えば、“僕”の周辺では大きな混乱は見られない。ただ、失ってから気付く利便性やそれらに関する思い出の数々。あくまで話は“僕”の近辺、ちいさな規模。
余命宣告を受けた僕が死ぬまでに本当にやりたかったことを悪魔との取引で向き合い、同じく病死した母親が息子に願ったことを初めて知る。やり残したことはないか。家族に伝えていない言葉はないか。会いたい人はいないか。最期に思うのは自分の命より大切な誰かのこと。
命の引き替えという設定の割に全体が読みやすく軽い印象を受けてしまうけど、言葉は1つ1つ重い。
自己主張が苦手な友人の涙。母親が残した遺書。まだ何も知らずにいる父親。ご主人が生きるためなら自分は消えても構わないという猫。その猫を大切にしていた母親との思い出が残る僕。
内容を詰めて倍以上の容量にしてもきっと面白い。分かりやすいくらいもっと重くしても良い。これから映画化されるけど、本と同じエンディングじゃきっと物足りない。ちなみに“僕”は120キロの巨漢設定なので、イケメン佐藤健は絶対に違う。丁寧に。忠実に。旬な俳優で集客力をあげるんじゃなく、良作を作るなら。
大泉洋とか阿部サダヲとか。大野君とか……巨漢じゃなくてもヘタレが似合う俳優さんが良かったなー。作者の川村さんが元は映画プロデューサーらしいので……うーん、どんな作品になるか期待と不安。
ちなみに本に挟まれている、ブックマーカー。

もしも○○が消えたなら…
パッと思い浮かんだものは。贈る言葉は。
「忘れない 」
この世界から消えても、記憶まで消えないなら私は絶対に忘れません。
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