タカラジェンヌの退団ブーケの秘密
7月27日 宝塚歌劇星組の千秋楽。
この公演でコチョーランの退団ブーケを製作しました。
今日は、この千秋楽で宝塚を卒業するジェンヌさんの
退団ブーケの依頼から納めるまでの製作過程を、少し書いてみます。
”あの退団ブーケっ、どんなふうに作っているの?”って、
よく聞かれるんだけど、僕が作るブーケには出来上がるまでの
過程で僕なりの作り方とこだわりがあるんですよ。
すべては見せることは出来ないけど
「へぇ~そうやって出来ているんだ」とか
「そんなところにこだわってつくっているのか!」とか
「そんな思いが込められているのか・・・」
なんて、思いながら見てください。
今回の退団ブーケの希望はというと。。。
この濃いピンクでのコチョーランで合体ブーケ。
白い胡蝶蘭も綺麗ですが
この鮮やかなピンクも娘役さんには、ピッタリですね~
まず、千秋楽2日前に市場にて物色です。
僕のコチョウランでの退団ブーケのこだわり、その①
この数多い鉢の中から、ご本人がご希望される
形やサイズに合わせた鉢の吟味
花の大きさや、バランス、輪数等など
一心不乱に探し出すのです。
コチョウランでの退団ブーケのこだわり、その②
当日ブーケを持って、舞台上で皆さんの前に立たれる瞬間から
大劇場を去るその時まで、決して萎れたりせず
ジェンヌさんを支える脇役でいてくれるように
切花でなく、鮮度を重視して鉢物を使っています。
でもって、選んできた鉢が下の写真のこれ!
今回のご希望の花色のコチョウランは、
時期的にとても数が少なく、白色に比べると少々小ぶり
上の写真を見てもらうとわかると思うけれど、(わかりにくい?)
圧倒的に白が多いことっ!!!
今回は、濃い目のピンクの鉢を6鉢選んできました。
そして、千秋楽当日の早朝
このようにして準備が始まります↓
1輪ずつ茎から切り取る。
切り取ったコチョーランの鉢は
写真のようにちょっと哀れな状態になってしまうけど
これも最高のブーケを作るため・・・と思って、ごめん!
そして切り取った花は入念に水揚げ。
十分に水揚げが出来ると、いよいよパーツの準備に取り掛かります。
1輪ずつ、ワイヤリング→保水処理→テーピングを繰り返し
これを繰り返すこと、146回!(頭飾りなども含めて)
指がつりそうです (泣)
こうしてテーピングが終わると
組み上げていくために、花のサイズと
今回は色の濃淡に分けて、並べていきます
ここから、形のバランスや濃淡を考えながら
”ガーランド”という長く花をつなげたパーツをいくつも作ります。
今回のこだわり、その③
普通は、中心になる部分から外に向けて
濃い色→薄い色へと構成するのだけど
今回は、ご本人のご希望が濃いピンクだったので
輪郭になる外枠部分の花が濃くなるように
薄い色→濃い色の逆パターンにて製作しています。
今回のこだわり、その④
下記の写真のように、手にしたときの”しなり”と
”歩いたときの揺れる動き”を出すための工夫に
ピアノ線の使用(どこに使っているかは企業秘密デス)
濃いピンクの色を引き立たせるために
白いレース状に濃いピンクの細いリボンを絡ましながら仕上げ、
これを合わせると・・・・・
ここで、手も乗った感触、花の角度、傾きなど最終調整を行い、
合体ブーケの完成!!
いつも思うことですが、退団ブーケを作らせてもらえると言うことは
とっても幸せな事だと感謝してます。
” 卒業おめでとうございます ” と言う気持ちと
”素敵な舞台をありがとう” と言う気持ちを込めて作りました。
最後の宝塚の舞台を楽しんでもらえたら・・・・・