生体腎移植顛末記(9) | 紗羅双樹

生体腎移植顛末記(9)

退院した長女は翌日から元の生活に戻そうと、

近くの散歩から始めた。


スーパーへ行って、少し店内を歩きお手洗いを探す。

腎臓の栄養は水ですよと看護師さんに言われ、

一日2リットルの水を飲んでいるから。


帰宅するとさすが疲れたらしく、ぐったりしている。

元気な体にメスを入れ、

内臓を取り出すという事をやった後だからと

常に頭から離れない。


長男はまだまだチューブが取れない為、

父親が毎日世話に通っている。

年をとってからの仕事のようで、

今の所、楽しんでいるようであるが、何時まで持つか・・・


長女は一緒に寝るようになってから幼児のようになっている。

入院前、

ユニクロに行って、最新の超軽いコートを

選んでくれたのはこの子かと思うほど別人。


小さい時から両親が働いていた為、

甘える時間が少なかったのが色んな事に影響していると

悔やんでいたが、

そろそろ人生を終わる前に

幼児帰りした娘と暫くでも過ごせるのは幸せと

変な感謝をしている。