小さな小さな一歩 | ずっと貴方だけを見つめていました

ずっと貴方だけを見つめていました

2022年1月に26年間連れ添った夫が天国に逝ってしまいました。
同じような境遇の方たちのブログを読み、苦しみを紛らわせていただいています。

11時就寝・・ねむれない

 

12時・・ねむれない 

1時・・・ねむれない 

2時・・・ねむれない 

3時・・・ねむれない

 

 

夫の隣りで安心して眠っていた時は

眠るのは得意中の得意だったのに・・

 

 

最近どういうわけか眠れないことが多い

昨日もダメだった

 

 

 

4時・・あきらめて、窓を開けてみた

まだ薄暗い中、鳥のさえずりと共に

 

 

カナカナカナカナ・・カナカナカナカナ・・

 

ひぐらしの声が響き渡っていた

 

 

 

物悲しい・・

 

ひぐらしにも夫との思い出がたくさん・・

 

 

 

ぼんやりと空を眺めながら

 

ふと歩いてみようかなと思いたった

 

 

 

 

近所を散歩すること=夫と一緒に歩くことだった

 

20年以上ここで暮らしてきて

どこもかしこも夫と一緒に歩いた道しかない

 

 

夫とおしゃべりをしながら

歩いた記憶に苦しめられそうで

歩くことは避けてきた

 

 

 

でも夫とは休みの日の日中や

夏は夕食後に一緒にウォーキング

早朝に歩くことは一度もなかった

 

 

 

早朝ならば歩けるかも?

 

やってみよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テクテクテクテク・・・・

 

 

日曜日のせいか人はほとんど歩いていない

 

 

 

ピーピー ピーピー 

かわいい鳥のさえずりが聞こえる

 

涼しい風が吹き抜ける

 

 

気持ちいい・・

 

 

 

この時間の空気は1日の中で一番澄んでいる

 

爽やか・・

 

 

 

 

テクテクテクテク・・

 

歩く道を決めるのは当たり前だけど全部わたし

 

夫と一緒の時はいつも夫のリードに合わせて

夫にくっついて歩いていた

 

 

 

テクテクテクテク・・

 

しばらく歩いていたら

あっ、そういえば、ツバメは?

 

 

 

いたいた!

 

 

 

 

毎年、

あるお店の軒下につばめが巣を作る場所がある

 

 

数年前、私が発見して夫に伝えてからは毎年

夫と共に観察するのが恒例になっていた

 

 

親鳥が卵を温め始め

ツバメの赤ちゃんが巣から顔を出し

その子たちが飛び立つまでずっと見守った

 

 

夫は

「飛んでる鳥が、ツバメかそうでないか

一目でわかるようになったよ」

なんて言っていた。

 

 

 

 

でも、去年の今頃は

夫があまり出歩けなくなっていた

 

だから、私が写真や動画を撮って

家にいた夫のスマホに送った

 

 

そして、ある霧雨の降った日

夫が玄関外に出て

「ツバメが飛んでるよー」

と私を呼んだ

 

 

見ると7~8羽のツバメが

嬉しそうに霧雨の中を飛び回っていた

 

ぴゅーー- ぴゅーー―― 

と一定のエリア内で

ツバメたちがグルグル回っていた

 

 

 

「霧雨の中はえさの昆虫が沢山いるのかなぁ」

 

「それともこれから大空に飛び立つよって、挨拶に来てくれたのかなぁ」

 

なんて会話をしながら

夫と一緒にツバメたちをしばらく眺めた

 

 

 

 

 

去年ツバメを撮って夫に送った動画や写真は

夫が亡くなってしまって間もなく

悲しくて悲しくて

全部私のスマホから消去してしまった

 

 

 

そして

もう二度とツバメを見ることはないと思っていた

 

 

 

 

でも

今日たまたま選んで歩いた道で

つばめの赤ちゃんたちに出会えた

 

 

 

早朝のわずか40分だけの散歩

 

 

でも

夫がいたらやらなかったこと

 

 

これも

小さな小さな一歩かな・・