私の妄想です
妄想紙芝居です









勘の鋭いサトシは部屋に入った時から
いつもとなにかが違うと感じていました


ベッドの方から微かに漂う獣の匂いは
まだ鼻の奥に残っている匂いと同じです

いつもと違うおばあさんの声は
まだ耳に残る低い声と同じです


サトシは「もしかして、、」と思って
ベッドに近付きました。
布団をかぶっていましたが、寝ているのは
おばあさんではないようです


話をすればするほど匂いが強くなり、
声も口調も変わっていきます。

布団から覗く、隠しきれない姿、、。
さっきは頭巾に隠れてわかりませんでしたが
サトシはその正体に気付き
嬉しくてゾクゾクしてきました



「ところで、ばぁさん、、。いい匂いが
するな、、」

「そうかい?ワインの匂いかな?」

「いや、、、もっとワイルドな、、、。
そう、、獣の匂いだ」

「、、、嫌いな匂いか?」


「ふふ、、、嫌いじゃない。
男の本能が目覚める匂いだ」



心配そうに尋ねるおばあさんに
次々質問をします


「ばぁさんの声、、やっぱりいつもと違うな。どうしたんだ?」

「、、あ、、男たちとしゃべりすぎたかな。この声は気に入らないか?」


「いや、、、低くていい声だよ。
そんな声で乱れたら、、たまんないだろうな」


「、、何言ってるんだ?、、」


おおかみ男はサトシの質問の
意味がわかりません



「ところで、どうしてばぁさんの耳は
そんなに大きいんだ?」


「、、、それは、、サトシの声を
しっかり聞くためだよ」


「ふ~ん、、。さっきは隠れてたけど、
ちゃんと聞こえてたのか?」


サトシはおばあさんの耳元で囁きます

「、、やっ、、」

おおかみ男はくすぐったいのと、
サトシの艶のある声に震えます


「ふふ、、、大丈夫か?
耳、、弱いんだな」


「弱くなんかない、、。人間の何倍も
よく聞こえるんだ」


「ん?ばぁさんも人間だろ?、、まぁ、いいや。そのくりくりしたつぶらな瞳は?」
 

サトシはもうおばあさんだとは
思っていませんでした。

目の前にさっきまで会いたいと思っていた
赤い頭巾の男がいる、、、
頭巾も被らずに、、、

はっきり顔が見たくて
もう一度声が聞きたくて
ベッドに腰かけました



「それは、、、サトシの姿をしっかり
見るためだよ」


「ふふ、、、涙が溢れてちゃ
よく見えないだろう?」


サトシは寝ているおおかみ男に近づき
大きな瞳から溢れそうな涙を拭います

「サトシ、、、」


おおかみ男は
もう動けなくなっていました。
すぐ目の前に獲物がいるのに、、
サトシがいるのに、、、。

襲いたくて仕方がないのに
ドキドキするばかりで
身体が動かないのです。


「ばぁさん、、、そのぷくぷくして
ぽってり赤い唇は何のためにある?」

「それは、、、」




「、、、、また会えたな」


チュッ、、、

返事に困るおおかみ男に
サトシは唇をあわせました







わけワカメなお話に
おつきあいいただいてありがとうございます🙇