「青銅の魔人」事件で壮烈な爆死を遂げたと思われた怪人二十面相は、その翌年の昭和25年(1950)、光文社「少年」1月号から早くも連載復活。
もっとも、今回は自称「魔法博士」という異様な風体の紳士として少年探偵団団員の前に現れます。
黄色と黒の縞模様という目立ちまくりの頭髪で少年野球の試合に突然現れ、強烈な印象を残すという導入が印象的な初読当時の私の感想でした。
こんな怪しい人物が少年たちの前に現れたら警戒心MAX間違いなしですが、近隣の西洋館で奇術ショーをするという言葉に誘われて彼らはその招待を受けます。
しかしショーの最中、一人の少年と共に魔法博士も姿を消してしまいます。
この少年の親戚だった名探偵明智小五郎助手の小林芳雄は探偵団のメンバーと共に探索を開始しました。
頼りの明智小五郎は発熱で2週間のベット生活という緊急事態でもありましたが、その間他の少年の誘拐事件も発生してしまいます。
ん?成人男性が2週間も発熱で寝たきり?さすがにこれは重病の域を超えているのでは 笑笑
誘拐騒動は更にエスカレートし、小林少年や明智小五郎もターゲットとなる混迷ぶりに発展していきます。
※この挿絵も前の巻に引き続き山川惣治が担当、さすがに動物を描かせれば達人の画風。なんたって「少年ケニヤ」「少年王者」の作者ですからね。
終盤には明智小五郎本人に変装した怪人二十面相が、明智夫人文代まで誘拐しようと探偵事務所に乱入。
しかし凶賊「魔術師」の娘だった過去を持つ明智文代は余裕の探偵力でこれを撃退、逃走する二十面相を明智と小林少年が追うという怒涛のクライマックスに傾れ込んでいきます。
私の読書歴はこのポプラ社刊行版が初読。
題名が「虎の牙 改題 地底の魔術王」となっています。これは当時ポプラ社の定番シリーズのひとつ「怪盗ルパン」の中に「虎の牙」という同名の巻があったので混同を避けるための改題だったとのこと。
でも本文には「地底」の活動描写はあまり無く、今でも違和感を感じてしまいますね 笑
この巻の挿絵は山内秀一、柔らかいタッチの画風ですね。
これは天野喜孝のカバー絵。題名イメージだけで乱歩全集約60巻の表紙を描きました。
江戸川乱歩の少年探偵作品にはよく「虎」が登場します。何故乱歩作品には大型猫族の出番が多いのか?
私が10代前半の頃、このポプラ社少年探偵シリーズを読んでいた頃は写真やテレビぐらいでしか「虎」をイメージできませんでした。
長じて社会人になりたての頃、東京上野動物園に時間潰しに入園し、虎のゲージ前のベンチで何気に観察していると、凄まじい顔で私に吠えかかる虎の巨大な姿に圧倒された思い出があります。
その際何故か思い出したのが乱歩作品の「虎」などの大型猫族登場部分。同時に妙に納得した事柄がありました。
実際に間近で見た者しか解らない「圧倒的恐怖」を乱歩は描いていたということなのでしょうね。
また乱歩の話をします。