無邪気に笑う少年がいた。
突然目の前に現れた。
いったいどこの子だろう。
深夜のコンビニの帰り道。
こんな時間になにしてるのだか
少年は早足に坂を登っていった
彼にしてみれば全力疾走かもしれない
歩幅を大きくし少しついて行ってみる。
ちょうど坂を登りきったところで
何かを掴むポーズで
少年は小さく跳んでみせた。
彼にしてみれば大ジャンプ
100点満点だったかもしれない。
見た?
見た。見てないけど見た。
無邪気に笑う少年に嘘をついた。
おじさんも一緒に!
なんて言われた日にゃ
筋肉痛覚悟で大ジャンプ見せてやる。
一緒に坂を下る
こっそりおれにだけ教えてくれたけど
助走が大ジャンプの秘訣なんだって。
みんなには内緒やで
坂を駈け昇る
おれだけ先に行かないように
少年とタイミングを合わせながら。
ちょうど坂を登りきったところで
我ながら跳んだ。飛んだ。
少年は満足そうな顔で
やるじゃん!ナイスキャッチ
と嬉しそうに笑うので
どうやらおれも掴まえたらしい。
握った掌には何もなかったのだけれど
すぐに逃げてしまうけど
掴んだ瞬間だけ掌に月はいるらしい
だって掴んだ瞬間
月は空から消えてしまうんだから
すごいことしちゃったな
と少年と嬉しそうに顔を合わせ
僕は一人坂を下る
そういやあの少年、

どっかで会ったことあったっけ?
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