手話通訳の現場で

簡単にごめんなさいと言ってはいけない、なんて言うと

傲慢だと思われるでしょうか。

 

そんなにアナタ、完璧で自信があるんですか、と

思われるでしょうか。

 

いえいえ、とんでもありません。

 

日々の通訳現場では様々な状況があり

時に限界を感じるような本当に自分が情けない・・

聞こえない方に申し訳ない!という気持ちになることはあります。

また、数年前までは、実はごめんなさい的な言葉を言っていました。

 

それでも、今はその言葉は必死の思いで我慢をするようにしています。

まあ表情や態度には出てしまっているかもしれませんが・・。

 

‘ごめんなさい’を我慢するようになった理由は

聞こえない方から、手話通訳者から謝られても困るという話を聞いたことです。

 

状況としては、通訳中のろう者噂話的な感じですが

‘先日の手話通訳者が通訳終わった後に、

  ❛ごめんなさい私の手話が下手でごめんなさい❜って謝るんだけど

  私は謝ってほしい訳じゃない、

  下手でもいいから、とにかく頑張って伝えようとしてくれれば

  私も頑張って読み取ろうと思うのに

  謝られても、こちらは何と言いようもない、我慢するしかない・・・’と

 悲しそうに悔しそうに話されていました。

 

手話通訳者はたしかに正直に謝っている、でも、聞こえない人は謝られてどうするのか

自分が情報が分からない、伝わらないことで、不利益を被っていることを

謝られたからと言って、怒ることも不満も言うことも我慢させられている・・・?

 

そんな風に感じました。

謝ってしまうのは、手話通訳者のエゴではないか・・と。

 

またそんな風に思い始めてもなお

自分に自信がなくて中途半端なことをしてしまいました。

 

 ある外資系の企業での現場でしたが

 最近は外資系企業の依頼は増えていて、英語→日本語通訳→手話通訳というリレー通訳も多く

 大変な事が多いので覚悟していたものの

 その時は業界独特の単語が多かったり、色々なアクシデントがあり

 通訳環境も良くありませんでした。

 

 対象者である聞こえない方は必死に理解しようとされているのに

 結果的に聞こえない方に伝わるような手話通訳が出来たとは思えず

 通訳途中にも関わらず 

 途方に暮れたような心境になってしまい

 つい聞こえない方に‘ごめんなさい’という手話を出していました。

 

 通訳終了後に先輩から

 ‘謝る位なら、その仕事は受けない

  謝る暇があるなら、伝える為に最善を尽くす

   常に自分の技術を磨くために努力する

  謝ることは聞こえない人に失礼、プロとしての意識を持ちなさい!’と

 

とても厳しい言葉でしたが

私はその通りだと思っています。

 

どんな現場であってもベストを尽くす、

謝るという事は

時に聞こえない人を傷つけることもあるという事。

 

そして、日々、努力を怠らない、

どんな時もベストを尽くそう

諦めない!を忘れないように努力しています。

(努力だから・・)

 

 

 

でもね、謝りたくなる人の気持ちは分かります。

 

たまに、なんの根拠もない自信を持っているような

反省の欠片もない

ダメダメな通訳者に遭遇することもあると

はぁ~?と思ったりもします。

 

おっと、このまま進むと毒がつよくなってしまいそうなので(笑)

今日はこのあたりで。