漫画

『ラムスプリンガの情景』

80年代アメリカの田舎が舞台。ブロードウェイの夢破れて田舎に来た元ダンサー・オズが、ラムスプリンガ期のために街に出てきた純朴なアーミッシュの青年テオと出会うお話。
お互いに惹かれあっていくが、アーミッシュの掟により、テオは美しい故郷かオズのどちらかと永遠に別れなくてはならなかった。


作者の吾妻香夜さんのコミックスはまだ5冊程度ですが、かなり変態的なお話だったりしたので、いきなりこんなドラマチックなお話が出てきて驚きました。これからもっと色々な切り口のお話を描いてくださるのかと思います。

アーミッシュ、という言葉自体を、この本で始めて知りました。現代のアメリカで、移民当時の生活を守り、歌を歌うことすら許さない、徹底した信仰生活を送る人たち。16歳ごろに一度親元を離れる「ラムスプリンガ」期を過ごし、その先の人生を自分で選択します。
この作品では美しいアーミッシュ達の生活と、80年代の気怠げな雰囲気が丁寧に描かれていました。
また、最後、テオとオズが手を取り合って行くラストで、故郷に永遠の別れを告げるテオの姿に、思わず涙が出てしまいました。