ノロウイルスと思わしき胃腸炎に感染した時,その前に牡蠣を食べていると「牡蠣が原因」と考える人が大多数のようである。
カキをはじめとする2枚貝は大量の海水を体内に取り込んで呼吸しているので,体内に細菌・ウイルスをため込みやすく,海水温が低い時期はため込んだ細菌・ウイルスを吐き出しにくいから,というのがその理由らしい。
まず,第一にしっかり加熱調理していれば,ウイルス・細菌は死滅するので問題ないのだ。
加熱調理して食べて,特定の人だけなった場合は牡蠣以外の感染経路が疑われるのに,牡蠣が原因としばしば決めつけられているように思う。あるいは,別の(ノロウイルス感染以外の)胃腸炎なのに,牡蠣食べたからきっとノロ・・・と思いこまれてしまうことも多いのではないかとも思う。
繰り返すけれど,加熱処理して食べた場合は牡蠣が原因とは考えにくい。
次に生食用と記載されている牡蠣について。
私の知っている廿日市や能美島の養殖業者さんの場合,生食用の牡蠣は清浄海域(細菌・ウイルスの個数が基準値以下)で一定期間養殖したうえ,水揚げしたのちは殺菌された清浄海水の中で一定期間活かしておいてから出荷するという。もちろん,牡蠣内のウイルス・細菌数のサンプリングテストもする。
したがって,生食用となっている牡蠣について,ノロウイルスや細菌が残ったまま出荷されることは極めて少ないと考えている。
生食用の牡蠣を加熱して食べれば,まずノロウイルス・細菌感染による胃腸炎の可能性は低い。
もちろん,出荷後,別のところでノロウイルス・細菌が付着すれば別であるが。
加熱用であっても,一定期間は清浄海域で養殖したうえで出荷しているらしい。
船で夜釣りにでていると,能美島・倉橋島方面をいききするながーい牡蠣筏をひっぱった船としばしば遭遇する。なんであんな大変なことをするのだろうと知人の牡蠣業者さんに聞くと↑のような理由もあって,牡蠣筏ごと移動させるのだそう。
実際,ここ何十年か,私は牡蠣に当たった事はない。
殻付き牡蠣を一斗缶一杯買って,BBQで食べた時も当たる人ナッシングwww
技術の発達していなかった30年くらい昔は,私も時々あたることがあった。
清浄化の技術が発達していなかっただけでなくて,悪質な業者もいて落ち牡蠣といわれる海底に落ちていて,底引き網にかかった牡蠣を出荷するような業者もいた時代である。
いまや,有数の牡蠣産地として,全国的な観光地として,牡蠣による食中毒が出てはたいへん=信用にかかわる!と,養殖業者さん・流通業者さん,行政,いずれも最大の努力をかさねているのである。
ブロ友さんのご家族で胃腸炎になった方が牡蠣を食べていたという理由で,胃腸炎の原因を牡蠣によるノロウイルス感染だと決めつけた上司がいたらしいのです。でも,加熱調理の上に食べてから2日以上経っての吐き気と発熱,かなりの確率で牡蠣が原因ぢゃないでしょ。
コメント欄でも牡蠣原因の風潮が蔓延してるよーな(笑)。
コメントでは十分に意を尽くせなかったのでこちらに記載です。