一つ前の号になってしまうが、岳人12月号の服部文祥さんの『南アルプス聖沢上部 滑落報告』はとても面白く考えさせられる内容であった。

服部さんはサバイバル登山家として著名な方で、今年も「百年前の山を旅する」という本を上梓している。

僕は観ていないが、最近、テレビ番組の「情熱大陸」にも取り上げられたみたいだ。


本来であれば、著名な服部さんのレポートなので、大きな文字のクレジットが入ると思うが、不注意が原因の滑落事故ということもあってか、また岳人の編集部員であるからという遠慮もあるのか、「報告・服部文祥」という文字が小さく、最初は見落としてしまっていた。


タイトルは

「遭難は登山なのか 行為はどこまで自分のものなのか」

というもの。


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南アルプス中部、聖沢で20メートルの滑落をし、肋骨を3本折り、肺に傷がつき空気が漏れる状態になったにもかかわらず救助を呼ばず、自力で下山したという報告書である。


「ヘリに乗るというのは死んだということ」

という服部さん独特の考え方が展開される。

『ヘリは存在しないという前提で登山しているのだ。、多少遅れて死ぬくらいなら、それでいいという覚悟をいつか私たちはもてるのでだろうか。』と書く。


登山とは何かという問いに対して、『自分の力で山に登ること』であり、『すべての責任を自分で引き受けるからこそ、登山者は山で自由になれる』と書いている。


だから登山計画書は提出しないし、山から帰ってこなくてもムキになって探してくれなくていいという。

サバイバル登山の実践者なので、もちろん一般人の感覚ではない。

この考えはいくらなんでも極端過ぎると思うし、自分には真似のできないことだとは思う。

しかし、ひとつの考え方ではあると思うし、議論の出発点になっていいと思う。

結論はどうであれ、とても興味深く何度も読み返してしまった。

最近読んだ中では秀逸なものだと思う。


遭難したとしても他人に頼らないし探してくれるな、と繰り返し書かれたレポートであるが、

最後の行に、

『すこしは探してくれるとうれしい』

と書いてあった。

少しほっとした。
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