山に関連する本を見つけると、大抵読みたくなる。
紀行文、エッセイ、小説も好きだし、ガイドブックだって面白い。
読書の秋なので、今まで読んだ中で面白かったものを紹介したい。
⑩ 『山小屋の主人の炉端話』
東京新聞出版社 著者:工藤 隆雄
「あっつ山小屋だ......」
山を歩き疲れた頃、山小屋が見えた時ほど安心できる時もない。
そして、どこにそんな力が残っていたのかと思うほど早足になる。
山小屋の主人の話は、作られた一遍の小説よりおもしろい話ばかりだ。
35か所の山小屋のご主人の話が一冊にまとめられた本であり、それぞれとても興味深い話が掲載されている。
僕は最初の2つの話で早速やられてしまった。
「右、崖。足元注意」先生の声が森の中に凛と響いた。
「はい」
「頑張れよ、転ぶなよ」
先生は私たちの目です.....
山手線の中で読んでいたが、涙が止まらなくなり、周りの人に危ない奴と思われないように誤魔化すのに苦労した。
今まで多くの山小屋に泊まらせていただいたり、休憩させていただいたが、いつも心の底からホッとする場所であった。
七メートルの雪の中から山小屋を掘り出す話。
三年かけてトイレを自力で作る話。
泥棒に小屋を荒らされる話。
そのホッとする場所を登山者に提供するために、こんなにも苦労されているのかとわかり改めて山小屋の有難さを認識した。
早く山小屋に行きたくなった。
