スタンリー・キューブリック監督作品、ジャック・ニコルソン主演。

ようやく見れた。



小説家としてデビューを狙っているジャックはあるホテルの管理の仕事を引き受ける事になる。
そのホテルは冬になると雪によって完全に外界から閉ざされる陸の孤島、誰もいなくなる。
そこにこもってホテルが来春からもまた使えるように管理の仕事をしながら自身の小説を書き上げる算段だった。

妻と息子を引き連れ一冬を過ごし始めるジャックだったがホテルのオーナーから忠告されていた事があった。
「前の管理人はここで狂人となり妻と娘を斧で惨殺してしまった。君は大丈夫か?」

ジャックは答える。
「ご心配なく、私は大丈夫です。」

家族の冬越えが始まる。
















作品内容としてはジャック・ニコルソンの映画だなと。
ストーリーは原作からはまぁまぁ離れてしまったようで重要な描写がスッポリ抜け落ちている為、シャイニングとは何なのか?どういう理由でジャックはああなってしまったのか?等、映画だけでは結構難解になってしまっている。
それでもそういう作品として見れてしまうのがキューブリックの凄い所なのかもしれない。


そして映画のシックスセンスと同じ匂いがした。
つまりシックスセンスはたぶんシャイニングの影響をモロ受けしている作品だと思った。
というかM・ナイト・シャマランがキューブリックの影響を受けているのだと感じた。
どうりで作品のニュアンスが似てるわけだ。


ちなみにシーンだけが一人歩きして有名になっているジャックが割れたドアから顔を出しているあの場面は映画を見ずしてモノマネはできない。
形だけならいくらでもできるが流れをわかってのあのドア越しの顔である。
そこは理解しておかないとだ。














そしてやはりジャック・ニコルソンは歴史に名を残す名優だ。
普通の人の役なんかはあまり似合わない(そもそも顔が普通の人の顔ではない、失礼w)がちょっと変わった人から完全狂人までなんでもやりきってしまう。

もちろん他の役者がこのジャック役をやってもそれなりには見れただろうと思う。
役者の力や意地もあるだろうし、何よりあのスタンリー・キューブリックが監督である以上半端な仕事はしようと思ったとしてもやらせてもらえないだろうから。

しかしこれは今さら討論のしようもない事だが、当時のジャック・ニコルソンの目、口元、ひいては額の感じ等、全てが揃ってこそのあのジャック・トランスという人物だったのだと思う。

















良かったのはジャック・ニコルソンだけではない。
映画に限って言えば妻役のシェリー・デュバル、息子役のダニー・ロイドの2人がいなければ間違いなく成立しなかったと思われる。

シェリーはキューブリックの演出の一環で撮影中ずっと孤立させられ、うまく演じられなければ罵られ何回でもリテイクさせられる過酷な環境に身を置かされた。
後々あの経験は自分の財産だと語るまでになる。

ダニーはもの凄い数のオーディションの中から選ばれた少年で、作品内での存在感はシックスセンスのハーレイ・ジョエル・オスメントにも引けを取らない演技を見せている。言い過ぎか?

2人の父親に追い詰められる狂気が見えてこそのシャイニングという映画だった。



















原作者のスティーブン・キングはこの映画版シャイニングを現在でもずっと批判し、その反感の意味を込めてスティーブン版シャイニングをドラマで作ってしまう程の酷評ぶりらしい。

そこまでしているのならそのドラマ版もせっかくなら小説版も見てみたい。



















今時のサスペンス作品を知っている人からすれば古臭い映画かもしれないが、この映画でしか見られないものもあるしこの時代だからこその良さも必ずある。
古いからと敬遠するのではなく見てみる事を強くお勧めする。




















まぁ大概の人は見てるか、僕じゃねーんだからw



★★★★★★★☆☆☆        7.9/10



ようやく見る事ができたのでやっと先に進める気がする。
ありがとうキューブリック。