夢 | ☆

夢

夢を見るのが嫌だからあまり眠りたくない

 

場所は昔住んでいた印刷会社の寮、

季節は秋口、雨が冷たく感じ始める頃
 
時間は夜中の1時過ぎ

 

窓の外は雨と霧であまり見えなくて
都営住宅の隙間から道路を挟んだ競技場の光が漏れてくる部屋
 
照明はつけてなくて窓から入ってくる光だけで煙草に火をつけて吸ってる

2段ベッドにもたれて同じ事ばかり頭の中に回って煙草の本数ばかり増える
 

潰しきれない自分の気持ちと違う方向に進んでいく現実

胸の真ん中に空いた穴といつまでたっても進まない時計の針 

 

延々と繰り返される「もう一度」の期待と

 

期待を裏切られる不安と

 

嘲笑の的になる惨めさと

 

誰とも話をしなくなった自分

 

 

治りきってない左腕の傷に右手で爪を立ててため息

 

メッセージも入ってないのに点滅してる部屋の電話
 
どうせまた無言電話なんでしょ?

 

新しい煙草に火を付けて灰がもう限界になった頃

犬のエサ皿に似せて作られた灰皿に灰を落とす

 

もう一度咥える瞬間に鳴った電話


たった数分の会話

 

 

 

脳が理解できない
 
 
病院の名前は会社から寮まで歩いて帰る途中にある病院

違う寮に住んでいるのに4駅も離れたこの周辺を

この時間になぜバイクで走ってるか理由がわからない

 

煙草の灰が全部落ちてフローリングの床に焦げ目がついてる事さえ気付かない
 

悪い冗談で驚かそうとして話してる?

いつもバカな事を言うヤツだし最近俺が夜中起きてるのも知ってる筈
 

 
交差点に置かれた花束

会社で集められた香典

夜勤で足りない人数

作業ボックスの中に残ってる書類

作りかけの曲

返す筈だったCD
 

予約していたスタジオはキャンセル

 

もう遅刻じゃないから 

 
2度と会えない現実

2度と話せない現実

2度と聞けない冗談

2度と聞けないスネアの音、声

 
信じられる?信じられない?

信じても信じなくてもこれが現実
 

病院に出かける所で目が覚める…

 

 

どうして今更?もう何年も経つのに…

 

お給料日で嬉しくても

 

彼女と一緒にいて楽しくても

 

ライブが終わって満足しても

 

スロットに勝って楽しくても
 

たぶん楽器を弾き続ける以上ずっと夢に見る

 

自分が幸せだと思うと見る夢

 

今の幸せが長く続かない事を暗示するような夢 

 

だから眠りたくない、クタクタになる迄…