randomaize | ☆

randomaize

誰が悪いわけでもなくて、結局1人のぼせあがったバカな男が現実にぶつかった日

 

初めて人を好きになったと気付いた日 

 

それは本当に些細な事で、今考えても理由はあまり思い出せない

 

ただその人の事が頭から離れなくなった

 

結局仕事していても楽器を弾いていても頭から離れなくて

 

そして一生に数回しか出せない勇気を振り絞った日

 

今思えばずっと後悔ばかりしていて

 

あの時何も言わなければもっと違っていたかも

 

あの時何も言わなければもっと変わっていたかも

 

それでも自分が止められなくなって

 

結局大根役者の三文芝居のように告白した日 

 

 

お互いに行った事もない田舎から集まった4人がバンドを組んでようやく音もまとまった頃

 

いよいよライブの話も持ち上がって場所を決め、スタジオに入る時間も長くなり…

 

必要になってつけられたバンド名は「randomaize」

多分楽器を弾くのが楽しかったんじゃなくて

 

その曲を、その弾いている姿を見てもらう事を想像するのが楽しかったんだと思う

 

下手クソに自己満足のスパイスを加えてたらふく頬張った愚か者が1人

 

身の程しらずが告白をした

 

楽器しかないその愚か者が話しかける口実として使ったのはライブ

 

randomaizeでの初めてのライブ

 

オープニングアクトの客もまばらな事が十分予想できるライブ

 

それでも聞いて欲しかった  自分を改めて見て欲しかった

 

男友達の輪の中でではなく、1人の男として見て欲しかった 

 

たった一曲でいいから好きになった人の為に弾きたかった

 

相手の口から出た言葉は

 

「私のためにライブするようならやめてください。迷惑ですから」

 

それが壊れる引き金だった

 

一年の変化を感じなくなった  頭の中の記憶という時計はとまった

 

楽器に魅力を感じなくなった

 

聞かせる相手すらいない楽器を爪弾いても楽しいとは思わなかった

 

どうせ聞かせる相手もいないならこんな左腕必要ない

 

そう思って自分の左腕にナイフを突き立てた

 

頭と胸の虚無感で腕の痛みは感じなかった

 

腕から血が溢れてズボンに流れ落ちているのに全然痛くなかった

 

ただ壊れた自分が情けなくて次から次に涙が出た

 

惨めで涙がとまらなかった

 

どうにもならない事がある、その現実を受け入れられなかった

 

そしてもう一度ナイフの柄を握り締めて腕に捻り込んだ

 

数ヶ月の後その傷は一生消えない痕として左腕に残った

 

もう二度と人を自分から好きになるのはやめよう

 

もう二度と人に自分から好きと言うのはやめよう

 

この痕を戒めとして…