スイス吟行

7日(日)全員禁煙席、13時間で、チューリッヒ。乗り換えジュネーブへ。空港近くのホテル。雨。外へ出ず、連夜の小宴会の始まり。
夏帽やふはふは機上の人となる

8日(月) バスでローザンヌ。バラ窓の大聖堂、市役所、IOC、大学、リゾート地。雨。モントルーまでレマン湖ランチ・クルーズ。湖に浮かぶシオン城経由、エビアンへ。日没遅し。
七月の橋の下には坂の町
小走りに小走りに祭準備かな
オルガンの音くぐもりし驟雨かな
パラソルのはしゃいで雨のローザンヌ
遊船やワインラベルの熊笑ふ

9日(火)バスでシャモニーへ、エギュ・ディ・ミディ。ロープウエー20分弱で3842m。快晴。山頂、厳寒。日本人のいない小さな保養地、エヴィアン、散策。夜、カジノ。
宙づりのまゝに夏嶺の氷点下
エビアンを飲むエビアンの夏館
噴水を止めコンサート始まりぬ
白シャツの教師歓喜のタクトかな
夏闇を横切るローラースケート子
釣師ゐて犬ゐて夕虹消えにけり
エビアンは犬の避暑地といふごとく
グラスとは氷なりけり朱夏の卓
10日(水)午前、隣町トノンへタクシー、列車で往復。午後、インターラーケンヘ。オスト駅近くの4つ星ホテル。夜、雨。
蟹のごとアーミーナイフ騒ぎをり
止り木のぬるき時過ぐ扇風機
まあ買ふか李か杏 プラムなの

11日(木)快晴。登山電車約2.5時間でユングフラウヨホ。山頂のパノラマ満喫、1時間、竹中弁当。ラウターブルーネン下車、ハイキング、トリュンメルバッハの滝。駅前で日覆を外し円卓な会議かな、とビール。
大夏野カウベル汽笛に応へをり
カウベルや共に親子の涼みゐて
炎天の頂上四方雪の嶺
頂のポスト職場へ夏見舞
サングラス氷河を下に握り飯
瀑音は画像となるやストロボ光
短夜やアルプスの雪水割に

12日(金)首都ベルン日帰り観光。バラ園からアーレ川、旧市街はラウベンというアーケード、時計塔、市立美術館、大聖堂尖塔からの旧市街。ベルン駅、夕食。往復の鉄道、快適。
石畳灼いて古色のベルンかな
旧市街といふ箱庭に旗群るゝ
警備する女暑しとパウル・クレー
片陰や聖堂なほも工事中
尖塔の螺旋階段風青し
馭者の髪焦ぐる西日の石畳
氷菓舐む大聖堂の蔭の中

13日(土)古都ルツェルン、観光客多し。屋根付きカベル橋。民族衣装博物館、廃館。交通博物館、IMAXシアター。若者多し。
蚤の市売り手買い手の汗の玉
廃屋の庭の木椅子や大西日
棲む人のなきあぢさゐの繁茂せる
14日(日)チューリッヒ空港、アトランタ・オリンピック選手団。13:00SR162。
15日(月)朝07:30、関西空港着。アクシデント、ハプニングなしの旅。
風鈴を買ひて終りぬ小休暇
添乗員氷菓のやうに溶け始む
(1996.7)