
明易や鳥の声より早く起き だっくす「裏六甲」
今回は第21回神戸RANDOM句会です。
森林植物園吟行弓削牧場句会という案内はがきを送りましたが、6月29日は梅雨の真っただ中、初の「野外句会」がなるか心配でした。
あじさい -群嶺群雲紫陽花の季なりけり 龍太-

神戸RANDOM句会のブログのトップページの絵はあじさいです。
メンバーの句を探すと、ありました。
紫陽花やキャンパス狭め献血車 つきひ・句集「俳句の時間」
あぢさゐや昨日は過去と割り切って つきひ・句集「時の濃縮」
紫陽花や神戸の海より深き青 さくら・夏の絵手紙句会
紫陽花の咲くを待ちかね車椅子 だっくす・夏の絵手紙句会
紫陽花のひっそりとたつ庭の隅 一風 ・夏の絵手紙句会
あじさいの剪られて藍のさらに濃く 播町・夏の絵手紙句会
七色の嘘の終りの紅あじさい 播町・夏の絵手紙句会
あじさいは、神戸っ子にはおなじみの「神戸市民の花」です。
神戸市のホームページには「神戸市制80周年と万国博開催を記念して、1970年(昭和45年)5月に制定。市民アンケートでも、最も人気のあった花。六甲山系に幅広く自生しており、美しく繊細な淡紫色、迫力ある花のボリュームで目を楽しませてくれる。」と紹介していますが、神戸が一番元気だった時期に定着したように思います。
六甲山の標高は931m。港から一気に坂道の街を上がり緑の山々が連なる大都市の景観は神戸の誇り。そして六甲山系をこの季節さわやかに彩るあじさい。
北鈴蘭台駅 -有馬まで各駅停車春惜しむ つきひ「俳句の時間」-
平成27年6月29日(月)、 朝は曇っていましたが、やがて青空が広がり、天気予報どおり快晴に。
誰何時と神鉄の夏思い出し 一風②…数字は句会獲得点
久しぶりに神鉄電車に乗った一風さん、若い頃の思い出がよみがえります。
神鉄電車は、昭和3年に神戸の中心と有馬、三田を結ぶ鉄道・神有電車として開通。海抜278mの小部駅は、公募で別荘のイメージにぴったりの健康の花言葉「スズラン」から「鈴蘭台駅」に名称変更され、周辺は「関西の軽井沢」として宅地分譲。40~50年前まで沿線はのどかな郊外の保養地の雰囲気が残っていました。
夕食に旬の竹の子二、三切れ ろまん亭
新緑に連なる赤のランドセル ろまん亭①
ろまん亭さんは、昨日の夕飯や朝の通学風景から、すでに句会への助走。
午前9時50分、神戸電鉄北鈴蘭台駅北東の「森林植物園ゆきバス乗場」が集合場所。
北鈴蘭台駅に降り立つと、通常1時間に1本の無料送迎バスを、今日は特別に1時間2本に増発させているのですが、長蛇の列。いまを盛りのあじさいがお目当てです。
梅雨晴の植物園行きバスを待つ どんぐり
復帰せし会のマドンナ夏衣 つきひ③
句会の参加者は、さくらさん、だっくすさん、つきひさん、どんぐりさん、へるめんさんと女性5名。男性は一風さん、英さん、播町さん、ひろひろさん、見水さん、弥太郎さん、ろまん亭さんの7名で総勢12名。
われらがマドンナ・句会の名幹事だっくすさんの元気な姿に、全員安堵。
10時05分発のバスには半数しか乗れず、あとのメンバーは10時35分発のバスで森林植物園へ。
森林植物園 -しら雲を吹尽したる新樹かな 才麿-

―神戸市立森林植物園HPより転載―
バスを降り、森林植物園の園内へ。
吟行はソフトクリーム食べてより だっくす①
森林植物園には、「弓削牧場」直営の森のカフェ「ル・ピック(=啄木鳥)」があり、新鮮な牛乳で作ったソフトクリームや特製カレーライスを販売しています。
七変化移ろふ色はどれも旬 だっくす①
あじさい園見落としさうな七段花 だっくす①
木洩日やあぢさゐの持つモネの彩 つきひ②
暦日の重さ儚さ七変化 つきひ①

さくらさん、だっくすさん、つきひさんは、あじさいに囲まれて句づくり。七段花はシーボルトが「日本植物誌」に紹介した130年後に六甲山で再発見された「幻のあじさい」。つきひさん、今日は印象派の巨匠「モネ」になってあぢさゐを描いています。
よくきたね笑顔紫陽花出迎える 一風①
あじさいのごとくに雲の流れゆく 一風①
一風さん、播町さん、見水さんはあじさいの坂を下ります。一風さん、「昔、ここでよく昼寝したわ」と芝生広場を横目に長谷池へ。カモシカ広場まで足をのばします。
あじさいの繚乱どれを選ぼうか 播町①
あじさいやパレットの青混濁す 播町①
愛でる客多し紫陽花嬉しそう 見水①
後発組のどんぐりさん、へるめんさん、英さん、ひろひろさん、弥太郎さん、ろまん亭さんも森林植物園に到着。
みずみずしあじさいの花溢れけり 英①
森の中あじさい輝くさす光 英
シチダンカ今は園内満ちにけり 英
森林植物園のあじさいは、街なかや住宅地で見るあじさいとはスケールが違い、圧倒されます。
雨上がりヒメアジサイの色冴える 弥太郎①
木洩日の紫陽花のみち人の波 弥太郎②
あじさいを接写今年も元気です へるめん①
森の中ファンタジックなあじさいよ ろまん亭
木陰にてアジサイ並ぶ赤・青と ろまん亭
へるめんさんの句は、カメラを抱えたろまん亭さんのこととと思いましたが、本日来園している大勢のシニアカメラマンたち。ろまん亭さんは吟行のメンバーをスナップしながら、芸術写真のイメージも膨らませています。
山清し左右紫陽花魅力あり ひろひろ
木もれ日に紫陽花の園七変化 ひろひろ②◎(◎は特選句)
山の上紫陽花カメラ爺々婆々よ ひろひろ
ログハウス天上天下みどり晴れ ひろひろ②◎
赤シャツの山登り姿がお似合いのひろひろさん、あじさい園を登って、ログハウスで深呼吸。
長谷池の水面をおおう蓮の花 弥太郎
こもれ日と睡蓮揺れる長谷池に 英
青空に睡蓮の花咲き揃う 見水
広い長谷池は、見渡す限りの睡蓮。白とピンクの花が咲いています。
「こんなに花が咲いてるのは見たことない」
「モネの絵とは違う」
トンボやアメンボも見つけ、童心に帰ります。
風渡り睡蓮の水きらめける どんぐり③
風に葉に舞ふ糸とんぼ睦みあひ どんぐり
とびはねて群れて離れてアメンボウ へるめん③
集合時刻の11時45分になりました。正門前に全員集合。
車班のさくらさん、だっくすさん、つきひさんは、タクシーで有馬街道経由、他のメンバー9人の徒歩班は、山田道をハイキングで、昼食・句会場の弓削牧場へ向かいます。
山田道 -涼風の一塊として男来る 龍太-

―YAHOOマップから転載―
弓削牧場は、西六甲ドライブウェイを挟んで森林植物園とは反対側の山の斜面にある酪農家の牧場。神戸の市街地にも近く、小倉台、筑紫が丘、桜森町の住宅団地に囲まれています。直線では森林植物園から1kmほどの距離ですが、徒歩では山田道経由でレストランまで約30分です。
山田道は、神戸市北区役所発行の「北区の歴史」によると、明治の初めに今の天王谷川に沿った有馬街道が整備されるまでは、南北主要道路で、北からは薪炭・穀物・農産物が、南からは肥料・日用品が運ばれたそうです。


歩む足自然に溶けし靴が鳴る ひろひろ
ザック背に夏山を行く俳句会 弥太郎
削らるる山の麓の夏の蝶 へるめん
牧場へと続く山道風涼し 見水②
ひろひろさんを先頭に、「俳句はハイク」の弥太郎さんも心地よい風に吹かれて道を下ります。道は神戸電鉄・北神急行の「谷上駅」まで続き、登ってくる人たちと挨拶を交わします。

正面には新緑の丹生山系。この山塊の周辺には茅葺の残る豊かな山里が広がります。
「芋の露連山影を正しうす」の句がふと浮かび、甲斐に暮らした飯田蛇笏・龍太父子の句の世界に誘われます。
三叉路に道標があり、弓削牧場に隣接する小倉台へ。住宅街を少し歩くと弓削牧場の入口がありました。
弓削牧場 -乳牛に無花果熟るゝ日南(ひなた)かな 蛇笏-

庭先が牧場入口草茂る 一風
牧草の輝く丘の涼しさよ へるめん②
弓削牧場入口からは、刈り取られたばかりの麦畑や林の上り坂が500m続き、駐車場や牛舎が見えてきます。12時20分、レストラン前の広場ですでに牛たちと対面済みの車班の3人と合流。

眼の涼し子牛にじっと見つめらる さくら②
カウベルが梅雨の晴間に音静か 英
ヤルゴイは草原の花夏の牛 見水①
ランチは13時からの予定でしたが、少し早めてレストランの「チーズハウス・ヤルゴイ」の席に着きます。

坂あがりビール一口ぐっと飲む 一風
白南風や舌にころがすカマンベール へるめん②
奴ふう生チーズ旨っ梅雨晴間 播町①
冷奴風に供され生チーズ だっくす①
弓削牧場は観光施設ではないということですが、牧場のレストランや乳製品は、テレビの情報番組などでよく紹介され、「気になっているけど、行ったことはなかった」伝説の牧場。平日のこんないい天気の日に来られたのはラッキーです。
予約したのは「おすすめランチセット」。メニューは、ハーブたっぷりサラダ、ホエーシチュー、もち麦ライス、コールドビーフと生チーズの一皿。各自、地ビールやワインでいただき、冷奴風生チーズも追加注文。食材が新鮮でチーズ臭さもなく、全員完食。
草に寝て -露草も露のちからの花ひらく 龍太-


食事が終わり、いよいよ句会。投句の締切は予定どおり午後2時30分。句会場は、弓削牧場さんに、見晴らしのいいレストランの横の藤棚の下を提供していただきました。
提出する5句をまとめます。梅雨の晴間というにはあまりにいい天気。夏の避暑地にいるようで、男性軍は何をやる気も失せ、木陰でごろりと昼寝。
牛の尾のひねもすのたり山の夏 播町①
緑陰を賜わり後期高齢者 播町
休息を緑の中で命のび ろまん亭①
女性軍は仲良くおしゃべりに夢中。
その後の話尽きざる緑蔭に つきひ③◎
「さくらさんは三味線の名取になったのよ」
「その名前に俳号を変えたらどう」
「寅さんの妹でいいわよ」…
ここで差がついたかな。
野外句会 -どの子にも涼しく風の吹く日かな 龍太-
午後2時30分、藤棚の下のテーブル席で、初の野外句会がスタート。
提出した各自5枚の短冊を、今日は少し書きにくいガーデンテーブルの上で手分けして選句表に清書し、弓削牧場の方に人数分コピーしていただきました。
頬に風牧場テラス夏句会 弥太郎③◎
牧薄暑野外に開く句会かな さくら①
緑蔭の句会に蝶も参加する 見水①
全員に選句表を配付し、各自、気に入った句を選句する互選。自作以外の6句を選び、特選1句2点、その他5句は1点で、各人の持ち点は計7点。参加者12名の総点数84点の争奪戦です。


午後3時、おやつの時間です。各自飲物付き特製デザートを注文。フロマージュ・シフォンケーキやババロアがコーヒーと一緒にレストランから運ばれ、所狭しとテーブルに並びます。蝶や蟻が迷い込み、ときどき山羊の鳴き声も。テーブルに向かい合っての選句なので少し落ち着きません。
つきひさんの進行で、順番に特選句から発表し、作者も明かされます。
本日、高得点を獲得した句は、
告白は明日では遅し七変化 さくら⑨◎◎◎◎
微妙な女心に圧倒的な共感を得て最高得点。
「男はつらいよ」にもマドンナ・いしだあゆみが寅さんをたじたじさせる「寅次郎あじさいの恋」(第29作)がありました。
緑蔭に乳の匂ひの風過ぐる どんぐり⑧◎◎
今日の弓削牧場にぴったりの美しい句です。昼の料理も素晴らしかった。
さておいて弓削牧場の冷菓食ぶ つきひ④
挨拶句。俳句は「はい食う」から始めましょう。
いたづきを見せぬかの人梅雨晴間 どんぐり④◎
入院疲れを見せないだっくすさんの笑顔にほっとしました。
梅雨晴間快癒の句友いればこそ さくら④◎
この句会が続いているのはだっくすさんのお蔭です。
太陽がやや西に傾き、いつのまにか背中にも陽射しが。時計を見るともう午後4時。
弓削牧場に予約しておいた賞品を受け取りに行き、表彰式です。

メンバーの得点と各賞・賞品は以下のとおり(敬称略)。
1位 優 勝 さくら (17点)自家製蜂蜜+フロマージュ・フレ生チーズ
2位 準優勝 どんぐり(15点)フロマージュ・フレ生チーズ
3位 殊勲賞 つきひ (13点)フロマージュ・フレ生チーズ
4位 敢闘賞 へるめん(8点)フロマージュ・フレ生チーズ
5位 技能賞 弥太郎 (6点)フロマージュ・フレ生チーズ
6位 紫陽花賞 だっくす(5点)フロマージュ・フレ生チーズ
6位 ヤルゴイ賞 見 水 (5点)フロマージュ・フレ生チーズ
8位 石楠花賞 一 風 (4点)フロマージュ・フレ生チーズ
8位 逆引き技能賞 播 町 (4点)フロマージュ・フレ生チーズ
8位 逆引き敢闘賞 ひろひろ(4点)フロマージュ・フレ生チーズ
11位 ブービー賞 ろまん亭 (2点)自家製蜂蜜+フロマージュ・フレ生チーズ
12位 逆引き殊勲賞 英 (1点)フロマージュ・フレ生チーズ
総点数84点の行方は、女性軍5名の得点が58点、男性軍7名の得点が26点。と女性軍完勝。さくらさん、つきひさん、だっくすさんは出句した句すべて得点し、パーフェクト。さくらさんの優勝は2012年秋のしあわせの村句会以来で、通算3度目。つきひさんの三連覇を阻止しました。
午後4時30分、片付け中の店内を覗くと、ニコニコ顔の弓削場長さんがいらっしゃったので、厚かましくもシャッターをお願いし、全員集合写真を撮っていただきました。

呼んでいた3台のタクシーが到着。
大いなる緑の宇宙六甲山 さくら①
万緑やフィトンチッドを満喫す だっくす①
快晴にめぐまれた一日でした。心地よい満足感に浸りながら、弓削牧場を後に、解散場所の北鈴蘭台駅に迎います。
今回、全員がお土産に持ち帰った弓削牧場のフロマージュ・フレ生チーズは、野菜にもパンにもよく合い、楽しかった句会の余韻をしばらく味わいました。
次回の秋の吟行もいい天気になってほしいですね。
2015.6 写真/romantei 文/mimizu
