久しぶりに弾弓を外れて馬弓?短弓の話です、いまひとつハッキリしないヨーロッパ地区の短弓(絵画では良く見るのですが現物となると見かけない;)中で東欧地区・ハンガリー弓を挟んでお隣地区の北西部ロシアでの弓がなんとなくヨーロッパ的なシェイプだったので少し調べてみました・・・ヨーロッパ地区短弓のスタンダードとしての内容的にはどうやら違った感じでしたが;
ロシア北西部地域の都市ノヴゴロド。中世までノヴゴロド公国として、それ以前にはルーシと呼ばれる人々によりルーシ・カガン国の首要都市として古くから存在しており。さらに旧くは古ノルド語で川の島の城=ホルムガルドと呼ばれていた。
当地の発掘調査と”過ぎし日の物語り”から860~70年代にスウェーデンバイキング(ノルマン人ルス族)首長リューリュクが当地のスラヴ人を征服しロシア最初の国家を成立させたとされている。
古代ルーシの短弓タイプであり、ノヴゴロド公国の輸出品目として毛皮があるため狩猟用とも見れるが実際は軍用兵器としても使用された。
ノヴゴロドの11~14cの発掘物より
コブ状?烏帽子型ハズ頭を持つヨーロッパ系?短弓(全長約80cm他にも130~160cmとの解説もあるがこのあたりは戦争用や汎用他個人の力次第ではないかと思う)・・・リム全体に防水のためと思われる白樺樹皮紐(幅3~5cm)によりカバーされている。
リムは2枚の木を貼りあわせで断面は楕円・グリップとハズの辺りに骨板により側面両側、長いウッドリムとグリップを含む2枚の板とハズ(Vスプライスではなく階段状の接着部)x2とハズとグリップ部分を側面から挟み込む骨板x6強化のための腱張りはリム部からグリップに少し掛かる程度の距離で貼り付け防水目的の白樺樹皮を上下リムに同螺旋方向に巻きつけている。接着剤にはチョウザメなどの膠を使用した模様。(主要部品数で見ると10ピース・・うち骨板が6木質が4に腱・膠・白樺樹皮)

グリップとハズ部分などに見られる骨板による強化構造(むしろこちらはアジア系の弓と共通)とアローレストに使用可能なリング?部分もみられます。
見た目的には浅いM字曲線のヨーロッパ絵画に出てくる短弓の両端が丸く膨らんでいる感じで複合弓の構造としては北ユーラシアの木製複合リムとハズ部分(アジアのモンゴル弓に見られるテコの力を積極利用したシアーとは違い交換やメンテナンス性を優先したようなタイプ?むしろ慣性重視か??)
矢については形はトルコ弓に見られる球根タイプでかつくびれの無い形状の矢ハズを持ち(矢尻はシャフトに差し込んだりシャフトを差し込む別パーツタイプ、矢ハズは差し込みタイプはオランダで見つかったヴァイキングの遺物に似ている)
矢尻はキャップタイプとナカゴ(矢シャフトに刺し込む軸を持つ)の両方が存在する、矢羽は2枚と3枚があり一般例として2枚羽根が多かったようです。
弦については色々な資料があり曰く植物繊維・麻他、動物由来腸・皮・絹など一定した記述はみられない;
矢筒はハンガリーでも見られるような鼓型の筒状タイプで腰に吊るすタイプ。
弓ケースはアジアで一般的な騎乗タイプ(多分後期)古代タイプとしてベルトの取り付け紐の弓ケース側が骨板で作られたパーツのものがある。

射法については私の推測ですが・・・短いながら楕円のアームガードとアーチャーリングが同時に発掘され、一部の発掘弓にアローレストがあることから変形地中海型の可能性が高い気がします(弦引きはリングでも左番えの可能性、リングに右番えなら弓の曲線が浅いものでもアームガードは不要)
。
地域の歴史的民族の変遷からヴァイキング弓の1例とも見れるが木製複合リムとハズの接着構造からは北ユーラシア地区の狩猟民族との共通点が感じられる(木と角板ではなく2種類の木種によるリム構造)。
以前記事でヴァイキング弓を記事にしたがヴァイキング集団全体でロングボウスタイルということならば、ルス族以前のスラヴ人なり周辺民族が伝えてきたように思える。
反対に北ユーラシア弓では一般的でない骨板によるグリップ部とハズ強化は後付け的にアジア弓に触れた後に改善されたような印象を受ける(反論としてはなぜシアーのテコ構造の重要性に気づけなかったのか?骨板強化方法自体は各地で平行発生した可能性もあるのだが、個人的にはそのわりにデザインが似過ぎている気がする)
いずれにせよヴァイキングに北ユーラシアとアジアの影響なども考えられる複雑な歴史を歩んできた興味深い弓ですね。
ではまた^^
ロシア北西部地域の都市ノヴゴロド。中世までノヴゴロド公国として、それ以前にはルーシと呼ばれる人々によりルーシ・カガン国の首要都市として古くから存在しており。さらに旧くは古ノルド語で川の島の城=ホルムガルドと呼ばれていた。
当地の発掘調査と”過ぎし日の物語り”から860~70年代にスウェーデンバイキング(ノルマン人ルス族)首長リューリュクが当地のスラヴ人を征服しロシア最初の国家を成立させたとされている。
古代ルーシの短弓タイプであり、ノヴゴロド公国の輸出品目として毛皮があるため狩猟用とも見れるが実際は軍用兵器としても使用された。
ノヴゴロドの11~14cの発掘物より
コブ状?烏帽子型ハズ頭を持つヨーロッパ系?短弓(全長約80cm他にも130~160cmとの解説もあるがこのあたりは戦争用や汎用他個人の力次第ではないかと思う)・・・リム全体に防水のためと思われる白樺樹皮紐(幅3~5cm)によりカバーされている。
リムは2枚の木を貼りあわせで断面は楕円・グリップとハズの辺りに骨板により側面両側、長いウッドリムとグリップを含む2枚の板とハズ(Vスプライスではなく階段状の接着部)x2とハズとグリップ部分を側面から挟み込む骨板x6強化のための腱張りはリム部からグリップに少し掛かる程度の距離で貼り付け防水目的の白樺樹皮を上下リムに同螺旋方向に巻きつけている。接着剤にはチョウザメなどの膠を使用した模様。(主要部品数で見ると10ピース・・うち骨板が6木質が4に腱・膠・白樺樹皮)

グリップとハズ部分などに見られる骨板による強化構造(むしろこちらはアジア系の弓と共通)とアローレストに使用可能なリング?部分もみられます。
見た目的には浅いM字曲線のヨーロッパ絵画に出てくる短弓の両端が丸く膨らんでいる感じで複合弓の構造としては北ユーラシアの木製複合リムとハズ部分(アジアのモンゴル弓に見られるテコの力を積極利用したシアーとは違い交換やメンテナンス性を優先したようなタイプ?むしろ慣性重視か??)
矢については形はトルコ弓に見られる球根タイプでかつくびれの無い形状の矢ハズを持ち(矢尻はシャフトに差し込んだりシャフトを差し込む別パーツタイプ、矢ハズは差し込みタイプはオランダで見つかったヴァイキングの遺物に似ている)
矢尻はキャップタイプとナカゴ(矢シャフトに刺し込む軸を持つ)の両方が存在する、矢羽は2枚と3枚があり一般例として2枚羽根が多かったようです。
弦については色々な資料があり曰く植物繊維・麻他、動物由来腸・皮・絹など一定した記述はみられない;
矢筒はハンガリーでも見られるような鼓型の筒状タイプで腰に吊るすタイプ。
弓ケースはアジアで一般的な騎乗タイプ(多分後期)古代タイプとしてベルトの取り付け紐の弓ケース側が骨板で作られたパーツのものがある。

射法については私の推測ですが・・・短いながら楕円のアームガードとアーチャーリングが同時に発掘され、一部の発掘弓にアローレストがあることから変形地中海型の可能性が高い気がします(弦引きはリングでも左番えの可能性、リングに右番えなら弓の曲線が浅いものでもアームガードは不要)
。
地域の歴史的民族の変遷からヴァイキング弓の1例とも見れるが木製複合リムとハズの接着構造からは北ユーラシア地区の狩猟民族との共通点が感じられる(木と角板ではなく2種類の木種によるリム構造)。
以前記事でヴァイキング弓を記事にしたがヴァイキング集団全体でロングボウスタイルということならば、ルス族以前のスラヴ人なり周辺民族が伝えてきたように思える。
反対に北ユーラシア弓では一般的でない骨板によるグリップ部とハズ強化は後付け的にアジア弓に触れた後に改善されたような印象を受ける(反論としてはなぜシアーのテコ構造の重要性に気づけなかったのか?骨板強化方法自体は各地で平行発生した可能性もあるのだが、個人的にはそのわりにデザインが似過ぎている気がする)
いずれにせよヴァイキングに北ユーラシアとアジアの影響なども考えられる複雑な歴史を歩んできた興味深い弓ですね。
ではまた^^