


■Title:未現像の風景—記憶・夢・かたち
■DATA:1991年11月/住まいの図書館出版局発行
■ISBN:4-7952-0884-0
再評価の気運高まる倉俣史朗。
手がけた作品の数は、空間デザイン(約300)・プロダクトデザイン(約180)のみが記録に残されているが、その多くは現存しない。
最早、作品の手がかりとなるものは、その斬新的な空間の体験者の記憶か、出版された書籍に頼るしか道はない。ところが、倉俣史朗の生前に刊行された作品集は、たった二冊。関係図書を含めてもわずか六冊程度と、そのカリスマ的な人気に反比例して、著書・資料が少ないことでも有名だ。
現在入手可能な資料となるものは、原美術館で開催された展覧会の再版カタログ『倉俣史朗の世界1934-1991』のみとなっているが、絶版となってしまった作品集は古書市場で高値をつけていてなかなか適することが出来ない。そんな数少ない倉俣史朗関連図書の中でも、本書は比較的古書店で入手しやすい貴重な書籍だ。
「未現像の風景—記憶・夢・かたち」は、生前に倉俣史朗が残した三冊目の著書となるはずであったが、残念ながら没後2ヶ月に刊行されたエッセイ集である。
全盛期は、デッサンや作品論の類いを残さなかった倉俣史朗が、晩年に書き綴った記憶の痕跡や夢日記を軸に構成されている。エッセイ集の体裁をとってはいるが、作品のビジュアル構成が秀逸だ。
「カラー/シルバーグレー/モノクローム/グレーの色調を飛ばしたハイコントラストのB&W」と展開する様は、まるで、鮮明な記憶が時間の経過と共に枯れてゆく感覚を表現したかのようだ。




