ある日上司から
突然会議室に呼び出された

東京に転勤してもらえないか
この言葉は今でも鮮明に覚えている
正直頭が真っ白になった
ちょうど海外勤務を終え帰国した2年後の
ことだ
おかしなことに思えるかもしれないが
海外で暮らすことよりも
東京に住むことのほうに抵抗感があった
おそらく家族の地元愛の強さが幼い頃から
私自身に染み付いていたからだと思う
日本のどこかの土地で新たな生活をすると
いうことは海外に行くよりも簡単には帰っ
てこれないかもしれないという距離的なも
のでは測れない漠然とした不安をもたらし
た
辞令を断るという選択肢は用意されず
会社を辞めるか行くかの
二者択一

行かずに辞めるよりも
行ってから決めればいい
目の前に用意された道を断るということは
負けず嫌いの私にはできなかった
むしろその勇気はなかった
母親は反対してくれるかもしれない
淡い期待をもちながら連絡をしたが
私が決めたことなら頑張ってみなさいと
肩透かしを食らうくらい後押しをしてくれ
た
もう行くしかない