今日の駅には、

冷たい風が吹いていた


やがて電車が到着し、

乗客が乗り込み、

扉が閉まった


あなたは窓越しに、

小さく手を振った


私は涙ぐみながら微笑みながら、

手を振り返した


それだけのことだった


本当は閉まりゆく扉の隙間から、

言葉を伝えることも出来た

電車を待っているあの少しの時間に、

声を発することも出来た


たった一言で良かった


しかし私は、

何も言えなかった


もしいつかまた出会えた時、

今の関係が崩れると思ったから

私は怖かった


躊躇しているうちに、

電車は静かに遠ざかっていった


赤いランプが次第に小さくなり、

やがて夜の闇に消えていった


伝えることの出来なかった想いを残して