今から40年以上前の話。
今では、国立科学博物館と一緒になって存在しない、「資源科学研究所」という研究所が存在した。
そこに「中村守純 氏」という研究者がおられた。

その方は、日本の河川や水田・水路などで見られるコイ科(コイやフナの仲間)の魚の生活史を徹底的に調べた、コイ科魚類のスペシャリスト。
その方がそれまでの研究を「日本のコイ科魚類」という本にまとめている。
この本がすごい。
日本全国を回り研究した成果を元に、コイ科魚類の基礎的な生活史が細かく記載されている。
当時の人達の研究への執念は素晴らしいものがある。

この本、中村守純氏が1969年に出版したため、論文などで(中村 1969)という記載をたくさん見る。
40年以上経った今も、守純氏の書いたこの本にしか記載がない生活史情報もある。
総引用数を数えたらどれだけになるのだろう。

私がこの方を尊敬する理由として、モノや記録を大事にしていたこともあげられる。
コイ科の生活史を調べながら、記録と標本を集めに集めていた。
当時は外来種や希少種といった概念が薄かったにも関わらず、普通種から希少種、外来種までかなりたくさんの記録と標本をとってある。
私も研究の側面と単なる生き物好きの側面をうまく両立させたい。

私なんかが評価できる本ではないのだが・・・。
こんな素人でもすごいと思えるってことは、やっぱりすごい本なのだろう