「すーちゃん、もう行くから
用意しよっか」
「たぁ〜い」
ちょっと見守ってると、
リュックにお茶やタオルを
自分で入れて準備をする涼音
あぁ〜紗良、ちゃんと
教えてんだな。
ただでさえ自分の準備とかで
忙しいのに、ちゃんと教育してる。
ほんとすげぇわ
「んたっ!」
「はい、できたね。
すず、じょーずだね」
「ん」
そう言ってちょっと照れくさそうに
はにかむ顔も本当紗良にそっくり。
危うくキュンってしちゃうくらい
すずに靴を履かせて家を出る
「いっま〜しゅ」
「はい、いってきます。ね?」
エレベーターのボタンを押すと
いきなりすずがギャンギャン
泣きはじめた
「…え、なに。どーしたの」
「んん〜!!んぎゃ〜!!
いやっいや」
「え、なにさっぱりだわパパ…」
しょーがなくすずを抱きかかえて
車まで行きチャイルドシートに
乗せるけど、乗せて車走らせてる間も
ずーと泣いてる
「ねぇー、すーちゃん
どうしたの?
なにか嫌だった?」
「んぁ!!んた!」
ずっと窓の外を指差してるけど、
え、ほんとなに?
スタジオの駐車場に着いて
降りる前に、もう降参!って思って
紗良に電話をかけた
1回では出てくれなくて
やっぱり忙しいか…と
思ってたら電話がかかってきた
「なに、どうしたの?」
「忙しいのにごめんな」
「うん、いいけど
なにかあった?
…あ、泣いてるね」
「そう〜聞こえる?
家からずっと泣いてんの。
もぉ降参…」
「えぇ〜?なんでだろう…
どこから泣いてるの?」
「ん〜家を出て〜
……エレベーター乗る時からかな」
「あぁ〜…
エレベーターのボタン…
押しちゃった?」
「え、なんで?
俺が押したけど」
「すずが毎回押してるの。
それがやりたかったんじゃないかな」
「えぇ〜そうなの?」
「多分ね。
あ、ごめん。忙しいから切るね?
またなにかあったら
電話して??
すずのことお願いね」
「あぁ〜うん。ごめんな」
そうだったのか……
「すず〜?
エレベーターのボタン押したかったの?」
「ふぇ。たぃ」
「パパ知らなくてごめんね?
あとでまた押してくれる?」
「たぁ〜い。」
と言って片手を上げるこの娘は
ほんとに可愛い。
機嫌も直ったようで……
車から降ろし局に入ってすぐ
エレベーターの前に行く
「はい、すず。
お約束ね、押して?」
「たぁ〜い」
ふふ、御満悦そう。
俺、ほんと知らないこと多いな。
まだまだパパ失格かな…
なんて思いながらエレベーターで
スタジオがある階まで行って
すずと手を繋いで廊下を歩くと
いろんなスタッフが、もれなく
話しかけてくる
そんなスタッフ達に
「ば〜い!」
なんて手を振り続ける天使
「はい、すず着いたよ
お利口さんしててね?」
「ん」