これは同性同士の恋愛を妄想したものです。それでもOKな方は下へスクロール。
彼を最初に見た時、漫才のレベルの高さに驚いた。
あれから十数年、経っているのに今でも驚くことばかりだ。
「吉村くん、どないしてん?」
「はっ?あぁ大丈夫」
「魂ぬけとったで」
今、俺は《彼》こと、まったんと一緒にいる。
彼の周りが騒がしくシェルターのように、まったんは俺の部屋に来る。
来る前に
「行ってもええ?」
と電話が来るが。
たぶん俺のマネージャと、つながってる。
確信犯だ。
俺は彼の行動をとやかく言わないし。
質問攻めにしない。
本のことも聞かない。
だから居心地が良いのだろう。
彼の周りは質問攻めにする人ばかりだから。
みんな彼の脳内を知りたがる。
何を考え、感じ、表現するのか。
ふと彼の長い髪の毛に触れた。
柔らかくて女の子みたいな香りがする。
だけど俺は彼にこれ以上、触れることは無い。
「吉村くん、髪の毛好きやね」
「そうゆうわけじゃないけど、まったんの髪好きよ」
「女の子の方がええやろ」
確かにそうなんだけど…
俺は彼の腕を引っぱって抱きしめた。
彼の読んでいた本が手から落ちる。
「吉村くん?」
くぐもった声が胸から聞こえる。
俺は彼の髪に顔を埋めた。
シャンプーだけじゃない彼の香りを吸い込む。
「まったんのが一番いいよ」
「そうなんや…くすぐったいねんけど」
「もう少しこのままで」
逃げる気配のない彼を、より強く抱きしめた。
彼が何かをする度に驚かされる。
今もほら、クスクス笑ってる彼に驚く。
祐さんに同じ事したら、思いっきり俺を突き飛ばすだろうに。
まだ、もう少し。
彼が離れるリアクションをするまで。
ずっと抱きしめていたい。
願わくば永遠に。