親父と天使の探し物15小説 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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インドアなのに司会やイベントに参加する方向音痴不思議さんの日々を綴ったり、小説や詞を書いたりする迷走系ブログ❗️時折、失踪してblog更新怠ります
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「じゃあ買い物に行って来ますからね」
「サボらないでちゃんと探すのよ」

翌日の昼、必死に探している康成と徹を尻目に美砂子の運転で紀理子は買い物に出掛けた。

「セイさん喜んで着てくれるといいんだけど」
「あれならなかなかのもんじゃない?徹も欲しがるかもよ」
「あらまあ、徹のを買うの忘れてたわ」
「じゃあさアイツの大好物でも作ってあげれば」
「そうね、今晩は徹の好きなチーズ入りハンバーグにしましょ」
「私も好きだから嬉しいわぁ」
「美砂子ったら」

家に帰る途中で可愛いカフェを見つけた紀理子が

「ちょっと休憩しましょうか」
「それ良いわねぇ」

店内に入りケーキセットを頼む紀理子とパンケーキを頼む美砂子。

「あのさ、こんなこと今さらなんだけど」
「なあに」
「なんかね、父さんが亡くなってすぐなのに笑ってるのって不思議よねと思って」

美砂子に言われて少し考え込んだ紀理子

「そうね、多分実感がないだけなんだと思うの。父さんは亡くなって直ぐに検死にまわされて帰ってきたのが三日後でしょ、だからまだ生きてる気がするのよ」
「まあ生きてるかどうかは別にして幽霊になって家にちゃっかりいるしね」
「そうね、だから悲しんでないわけじゃないのよ」
「そうね悲しんでないわけじゃない」
「いつもと同じって感じかしらね」

ちょうどケーキとパンケーキが運ばれて来て2人は食べ始めた。

「んー美味しいわね母さん」
「そうね」

すると紀理子が食べるのを止め

「美砂子には言っておくわね」

と言った。

「母さんねガンなのよ」
「え」

美砂子の目が点になった。

「何を言ってるの?」
「母さん2年前に検診に引っ掛かってね、検査に行ったんだけどその時は良性だったのでもね」
「でも何」
「旅行にいく一週間前かしら、調子が悪いから久しぶりに検査に行ったら半年って言われちゃった」
「えっ半年?」
「そう余命半年」

美砂子は驚きのあまりフォークを落としてしまった。

「もう美砂子ったら、すいませんフォーク頂けます」
「はい」

店員がフォークを持って来た。

「ありがとう」

そして去って行った。

「母さんたら何を言ってるのよ悪い冗談はやめて」
「本当に悪い冗談よね」

自嘲ぎみに笑う紀理子に美砂子は

「本当なの?」

と聞いた。

「本当よ、まあ2年前から覚悟はしてたんだけどね、とうとう悪性になっちゃった」
「母さん」
「はじめて検査にいった日から、具合が悪くなって動けなくなる前に、父さんとあっちこっち旅行をしたいなってお金をため出したの」
「2人で行ったのって、本当に新婚旅行の熱海だけなの?」
「そうよ、父さんは誘ってもいつも来ないから」
「そうね、この間もキャンセル代払って勿体ないなかったわぁ」
「でもね、何で父さんがギネスに載ろうとしたのかが分かったからもういいの」
「自慢したいからでしょ」
「それはそうだけど、私たちの為だったのよ」
「え
「自分を誇りにしてほしかったのよ」
「ほら結局は自分自慢じゃない」
「そう聞こえちゃうけど本当はね、今まで仕事仕事で子供の相手も出来なかったダメな父親だけど、苦しくてもやりとげとる父さんを見て何があっても挫けるな、いつか花が咲くって伝えたかったんですって」
「そんなこと何で分かるのよ」
「ビデオの始の方にそう言うメーセージを残してたのよ、父さんたらバカよね」
「ビデオ見たの?いつ」
「セイさんのおかげで父さんの姿が見えるようになった夜よ、いてもたってもいられなくなってね…でもはじめの所だけよ」
「そうだったの、じゃあ父さんにビデオを持ってきてって言われた時に機嫌が悪くなったのは何故なの?怒ってたでしょ」
「あれは…思い出して泣きそうになってたのよ、そんなの父さんに知られたら恥ずかしいじゃない」

うっすら涙を浮かべて笑う紀理子に美砂子が

「恥ずかしいってそれならそう言ってよ、やだ私まで泣けてきた」
「ごめんね、本当は母さんが先に逝く予定だったんだけどね」
「やめてよ母さんまで逝ったら本当にどうなっても知らないわよ」
「美砂子も私や徹が暗くならないように泣くの我慢してたのよね、ありがとう」
「なんだかなあ本当に皆バカね」
「そうね、だからね父さんが悪霊になったり地獄行きになっちゃうと困るのよ、私が逝った時に会えないのは嫌だもの」
「うん」
「だからなんとしても成仏してもらわなきゃね」
「うん」
「あと徹にはしばらく病気の事は言わないでね、あの子ああ見えて」
「メンタル豆腐だもんね」
「そうなのよ」
「分かった、こうなったら徹のバカをとっとと結婚させよう」
「それいいわね私が元気なうちに頼むわよ、あの世で父さんに報告するんだから」
「分かった」

後ろの席に座り話を聞いていた天使は昨日の事を思い出していた。

紀理子の影が薄いことに気付いた天使は調べに戻る途中、交通事故の側でニヤニヤ笑い去っていく悪霊と真っ青になって震えている死神を見付けた。

あいつ…ふっおかげで戻って調べる手間が減ったな

天使が死神の肩を叩くと驚き振り返り

うぎゃー

と叫んだ。

「黙っててあげるから、ちょっと教えてもらえる?」

と天使は微笑んだ。
近くの公園で天使は死神から手帳を受け取り開いて見ていた。そこには紀理子の名前と亡くなる日付けが書かれていた。

「今回の事はどうか内密にお願いします」

天使は手帳を閉じ

「当たり前だ!見付けたのが俺だから良かったものの、死神が間違った人間をしかも悪霊に惑わされて刈りかけるなんて始末書もんだぞ」
「うわぁぁすんませんすんません」
「見たところ、あんたはあと2・3回で戻れるみたいだから今回は黙っててやるよ」

と言い手帳を返すと

「ありがとうございます、ありがとうございます」

と言い去って行った。

「さてと三ヶ月後かぁその時は俺が担当になれるようにしなきゃな、2人を会わせてあげなきゃな」

そして今現在である。

さすがに規定違反になるから奥さんの事はおっさんには言えないし

店を出ていく紀理子と美砂子を天使は深いため息をついて見ていた。

その日の夜、康成と徹が書斎から出てきた。


「見付かんないってなんなんだよ本当に書斎にあるのかよ」

「おかしいなぁ」

「あのなあ俺が何度あの本の雪崩にあって死にかけたと思ってんだよ」

「えっと3回か」

「7回、7回だよ❗️そのうち2回は意識を失いかけたんだぞ

「すまんのぉ」

「それだけかよセイさんが来てくれなかったら、どうなってたか」

「あれでも少しは役に立つんだな」

「あのなあ」


晩御飯を用意している紀理子と美砂子。


「まあ2人で仲良く喧嘩して良いわねぇ」

「仲良くない、母さんこの親父のどこが良くて結婚したんだよ

「そんなこと言うなよ徹」

「そう言わないの、それよりセイさんは


と紀理子が聞くと


「また何処かに雲隠れか困った天使だなぁ」


それはお前だよ


と徹は思った。


「なあそれって本当に書斎にあるの?こんだけ探してないってどう言う事なんだよ」

「んーワシもわからん」

「あのなあ」


徹が悩んでいると美砂子が


「そう言えばあれって何だったのかしら母さん知らない?」

「あれって何」


紀理子が問いかけると


「ほら母さん、葬儀の用意をしているとき押し入れのなかに見たことのない箱があるって言ってたじゃない」

「あれねぇ確か台所の上の引き出しに入れ変えたような」


と言い結婚当初から使っている食器棚の奥から箱を持ってきた。


「これよね」


その箱を見た康成が驚き


「それは、ダメだ開けるなー」


と叫んだが間に合わず紀理子が箱を開けると、20通以上の手紙と共に探していた写真が出てきた。


「やだわ父さんったら、私との手紙をこんなに残してあったのね

「これって母さんとの手紙?」

「まあその何だな」


徹が聞くと真っ赤になってテレる康成


「父さんって以外とロマンチストだったのね」

「イヤー恥ずかしいなぁ」


美砂子に言い当てられ余計にテレる康成、そこに天使がやって来た。


「やっと見付けたのか」

「おお天使待っていたぞぉこれであっているかこの写真だろ」


康成が天使に写真を見せるが天使は気にせず箱の中を覗き込み


「こっちが正解」


と指差した。


え?


「おっさんの本当の探し物は奥さんとの手紙だったんだよ」

「それってどう言うことだ?」


徹が不思議そうに聞くと


「自分が死んで悲しむ奥さんに渡したかったんだろ」

「父さんったら、そんなに私のことを」

「素敵よ父さん」

「見直したよ父さん」


皆が誉めていると


「うおおおー見付けたぁ」


と言い箱の中から一通取り出し


「ここにあったぁー」


と握りしめた手紙を徹が取り上げた。



「徹、何をするんだ返せ」

「だまれ、素敵な康成さんへラブリーキュートのミルミルより」

「ラブリーキュート?どっかで聞いたことがあるわね」


と美砂子と徹がハッと気付き


「アニメのアイドルグループだぁ」


と叫んだ。


「ちょっとなんであんた知ってんのよ

「姉さんこそ」

「ちょっとアニメのってなんなのよ」


と紀理子が聞くが気にせず徹が


「父さんどう言うことなんだよ」

「そうよ父さんハッキリ説明しなさいよ」

「ねえねえラブリーなんたらってなんなの?」


怒る徹と美砂子と訳がわかっていない紀理子に康成が自慢げに


「お前らは何にも知らんのだな、いま大人気の美少女アニメのアイドルグループでその声優のライブもあって皆ちょー可愛いんだぞ。それに手紙の返事はなかなか貰えないんだぞ、見つかってよかったぁ」


とニヤニヤしていたら


「そうなんですか、でそのライブには何回行ったんですか」


紀理子を見ると冷ややかな笑顔で康成を見ていた。


「いやすまん、すまん母さん」

「セイさん、とっととこの人を処分してくださいその手紙ごと」


ヤバイよヤバイよ


「母さんそう言うなほらこれは家宝になるぞ、なぁ徹」


徹はひきつりながら


「父さん今はマズイって」

「うん私もそう思う」


同じくひきつる美砂子


「でもな、でもな」

「あなた、とっとと成仏しなさい❗️」


紀理子の大声が響き雷が落ちた。


ぎゃー


暫くして目を開けると、天使と康成の姿は消えていた。



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