壮一と陽太はひざまずき
壮一「まさかあんな事になるなんて、本当にごめん」
陽太「ごめん」
と頭を下げた
桜「そんな…」
桜は座り込んだ
翔「桜」
壮一は桜を見て
壮一「本当にごめん桜ちゃんが悪いんじゃない、俺達が馬鹿な事をしなければこんな事にはならなかったんだ」
と涙を流した
陽太「今まで黙っていて本当にごめんなさい」
陽太も涙を流した
桜「…」
言葉を失う桜
翔「今ごろになって、なんでその事を桜に?」
壮一「隼人が桜ちゃんを助けてやってくれって何度も何度も夢の中に」
陽太「こんな俺たちにたのみに来たってことは無視できないって思ったんだ」
優しく微笑む隼人
隼人「このまま成仏しないと俺も悪霊になってしまうし、もうそろそろ皆も幸せにならないとな」
翔「隼人さん」
桜を抱え立ち上がらせる隼人。
隼人「桜、楓を呼んであげよう。ずっとお前の傍で守ってくれていたんだ。それに一番つらかったはずだ」
桜「うんうん」
隼人は翔に向かい
隼人「君は楓を知っているよね」
気がつく翔
翔「はい楓って名前だったんですね」
桜が叫ぶ
桜「楓!楓!おねがい戻って来て」
陽太が壮一に
陽太「楓って?」
と聞く
壮一「前に聞いた事がある、産まれる事のできなかった桜ちゃんの双子だよな」
と隼人に問いかける
隼人「ああ」
壮一「お前が言っていた子に会えるなんてな」
隼人「そうだな」
大声で《わたし》を呼ぶ桜。
桜 「おねがい、戻って来て楓!楓!」
《わたし》が出て来る。
桜「楓」
わたし「うるさいわね…聞こえてるわよ」
駆け寄り《わたし》に抱きつく桜。
わたし「ちょっと、何をするのよ」
桜「ありがとう今までありがとう。ずっと守ってくれて、ありがとう」
わたし「ちょっとやめてよ。私はね、あなたの身体を乗っ取るつもりだったの」
桜「もういいの」
隼人「もういいんだよ」
わたし「…」
≪わたし≫が言葉を失う。
隼人「楓は桜が好きだったんだよな。だから辛い事は全部身代わりになってくれた。でももう大丈夫だから、桜は大丈夫だから」
わたし「じゃあ私はもう必要ないって事?あいつが、あいつがいるから私はいらないって事」
翔をにらむ《わたし》
隼人「そうじゃない、そうじゃないんだ君は生まれ変わるんだ」
わたし「生まれ変わる?」
隼人「そう、今度こそ自分の人生を生きる為に」
わたし「私の人生を生きる為に?」
隼人「ああ、だから一緒に行こう」
手を差し出す隼人。
わたし「一緒に、私と本当に?」
隼人「そうだよ、ほらずっと一緒だ」
そっと、隼人の手をとる《わたし》。
わたし「本当に一緒?」
隼人「ああ、もう寂しくないだろ」
わたし「これからは本当に一人じゃないのね」
隼人「そうだよ、さあ行こう」
わたし「一緒に」
隼人「そう一緒に」
わたし「うん」
ゆっくり去って行く二人、立ち止まり振り返り翔を見る《わたし》。
わたし「私あなたのこと嫌いよ、これからもずっと」
翔「知ってる、君とは桜の治療中に一度会って喧嘩もしたからね」
フッと笑う≪わたし≫
わたし「あれは試したのよ、それでも好きでいられるかってね。そうでしょ?」
桜を見る≪わたし≫
桜「そんなの、あなたが一番よく知ってるじゃない」
わたし「そうよね」
隼人「翔くん、今までの分も桜を幸せにしてやってくれ」
手を差し出す隼人
翔「はい必ず幸せにします」
隼人と握手を交わす翔
わたし「約束よ」
翔「ああ分かってる、ありがとう楓」
桜「ありがとう楓、今日までありがとう」
去ろうとしてもう一度振り返る≪わたし≫
わたし「あなたはあなたの人生を、私は私の人生をここから始めるの」
桜「うん分かった」
微笑みを交わす2人
壮一「隼人ありがとう。俺達の事も救ってくれて償わせてくれて」
陽太「本当にありがとう」
深々とお辞儀をする2人
隼人「ここから今から動き出すんだ、俺たちの本当の時間が」
壮一「そうだな、これからが本当の人生なんだな」
陽太「また会おうな隼人」
泣き出す陽太
隼人「泣くなよ男だろ」
陽太「ごめん」
肩を支え会う三人
隼人「また何処かでな」
輝く光の中歩き出す《わたし》と隼人。
桜「ありがとう」
翔「また、いつか」
青白い光、隼人と《わたし》がひかりに包まれて去って行き静まり返る。
桜「まるで奇跡みたい」
翔「きっと奇跡だったんだ一生に一度の」
陽太「隼人からの奇跡の贈り物なんだよな」
壮一「ああ、とんでもない贈り物だな。もう何があっても乗り越えるしかないじゃないか」
陽太「おお」
壮一と陽太肩を組み合う。
桜「私、幸せになっていいのかな?」
翔「いいんだよ」
うなずき涙をぬぐう桜
桜「また会えるかな?」
翔「会えるよ、いつか必ず」
まるでホタルのような無数の光が飛び交い皆を包む。
桜「ずっと忘れないわ二人の事」