いつか優しい未来~白昼夢11 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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翌朝、麻衣子と実加と奈月の3人は、厨房へと向かった。
その途中で、迎えに来たばあやとあった。

「どちらへ、いらっしゃるのですか?」

ばあやに聞かれて、麻衣子が答えた。

「配膳の手伝いや、掃除をしようかと。」

3人をゆっくりみて、ばあやが言った。

「皆さま方は主に、結さまの話し相手をしていただくのが仕事です。
後は、用事が出来しだい申し上げますので、お気になさらないように。」

その言葉に、奈月が

「でもそれじゃ、遊びに来てるみたいじゃないですか、バイト代もらってるのに。」

と言うと、

「こんな山奥に、わざわざ来ていただいているのですから、あれでも足りないくらいです。」

そう言い、ばあやは向きを変え

「さあ、すぐに朝食の用事が出来ます。様おいでください。」

と言い、歩きだした。
3人は、そんなばあやの後をついていった。
扉を開けると、結と広人がいた。

「おはよう皆さん、昨日はゆっくり休めたかしら。」

実加が口を開いた。

「はい、ゆっくり休ませてもらいました。」

「それはよかったわ。」

そう答える結に、奈月が話しかけた。

「あの結さん、私達何をすればいいですか?
バイト代もらってるのに、何もしないなんて、居心地が悪くって。」

「私も、何をすればいいか言って下さい。」

と麻衣子も言った。

「珍しい人達ね、今までの人達は喜んでいたのに…。
そうね、じゃあ今晩の夕食をお願いしようかしら、何でも作っていいわよ。」

と結が言うと

「それじゃあ、うち特製の鍋なんかどうですか? もう、何でも入ってるんです!!」

嬉しそうに、奈月が言った。

そんな奈月に広人が

「あ、俺も何か手伝うよ、って言っても運ぶくらいだけど。」

と言うと、

「コキ使いますからね~覚悟してください。」

と、奈月が答えた。

笑いあい、和やかな空気が流れていた。

朝食が終わり3人がさり、結と2人になった広人が言った。

「結さん、もしかしてこの家には、もう1人住んでいるんですか?」

紅茶を飲んでいた、結の手が止まった。

「なんの事かしら…。」

明らかに動揺して答える結に、広人はいった。

「俺、見てしまって…あれは誰ですか?」

結が満面の、しかし張り付いたような笑顔で、広人を見て言った。

「夢でも見たんじゃないかしら…でも、居るのなら、そのうち逢えるかも知れないわね…。」

結の言葉に、広人は

しまった…また、怒らせてしまった…さすがにまずい…

広人は慌てて

「あ……俺…すみません失礼します。」

と言い、足早に部屋を出て行こうとした。
そんな広人を横目に、結が呟いた。

「生きていればね…。」

広人は驚き振り返ったが、そこには穏やかな表情の結が、紅茶を飲んでいるだけだった。

聞き間違いか?時々、結さんがわからない 。
でも、この家には何かある。

広人は部屋を後にした。

「侮れない男ね…本当に新一郎によく似てること。」

と、結は呟いた。
広人は1度自分の部屋に戻ったが、昨日の部屋を探しに廊下に出た。

「どちらへ、いらっしゃるのですか?」

いつの間にか、背後にばあやがいた。

「うわぁ」

思わず、広人は叫んだ。

「す、すみません、ビックリして。」

ばあやは無表情で、広人の横を通りすぎた。

「待ってください!!」

広人は、思わず呼び止めた。そして、思いきって聞いてみた。

「あの人は、誰ですか?」

広人の問いかけに、ばあやの顔が一瞬不気味に歪んだ。

「どなたの事でしょうか…」

動揺するばあやに、広人はもう1人の存在を確信した。

「やだな彼ですよ…結さんたら意地悪して、名前を教えてくれないんです。
教えて、もらえますか?」

と、広人はばあやの様子をじっと見つめ、かまをかけてみた。
ばあやのグレーの瞳は、落ち着きがなくなっていた。
そして、ばあやは小さなため息を1つつき言った。

「あの方は…結さまの兄の、ケイルさまです。 」

ケイル…結さんの兄…