いつか優しい未来~白銀の城6 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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翌日、雪が降り始めた村外れの小さな駅に、3人の少女が降り立った。

「凄い雪だね。めっちゃ寒い~」

1人の少女が、足踏みをしながら手をこすりあわせて言った。

「大丈夫?そうだ、奈月さんカイロまだあるよ、いる?」

もう1人の少女がそう言い、カイロを差し出した。

「いるいる!!分けて~」

彼女、奈月はカイロを受け取りほほに当てた。そして、もう1人の少女に、

「あたたかい~ありがと麻衣子さん。まさかこんなに寒いなんて思ってなかったよ。本当にカイロはサイコー。
でもさ、ビックリなのは実加さんだね、実加さんたら全然寒そうじゃないんだもん…本当に大丈夫?平気なの?」

と声をかけた。黙って2人の話を聞いていた3人目の少女が、

「…あ、うん多分大丈夫かな、けっこう寒さには強いから。
どっちかと言うと、暑いほうが苦手かな。」

と言った。それを聞いた奈月が

「そうなんだ、まぁ2人とも色白だもんね~日焼け苦手そう、ってうらやましい~私色黒だから。」

と言った。すると、麻衣子が

「そんなことないよ、だって奈月さんスポーツやってての日焼けでしょ…カッコいい。」

と言った。奈月は照れながら

「カッコいい…か、なんかくすぐったいな。ありがとう。
…でもさ、マジで一人だったらどうしようかと思ってたんだ、2人に会えて本当によかったよ。」

と奈月が言った。そんな奈月に麻衣子が

「私も、奈月さんに会えてホッとした、楽しくなりそうだね。」

と答えた。実加も

「そうだね、よろしくね奈月さん。」

と言った。奈月は嬉しそうに胸を張って

「うん、ドンとお姉さんに任せなさい!」

と言った。3人は顔を見合わせて微笑みあった。

そのとき、足早に2人の青年がやって来て、3人を見た。
その内の1人が駆け寄って来て、3人に声をかけた。

「君たち…もしかして、これから平岩の城へ行くのか?」

と青年が聞いた。

「城?…あの、なんなんですか?」

麻衣子が聞き返した。すると、意を決したように青年が、

「悪いことは言わない、君達は今すぐ帰ったほうがいい。ここにいちゃいけないんだ…送るから早く…さぁ…」

戸惑う3人に、青年は慌ただしく言い、麻衣子の腕をつかみ引っ張った。
すると、様子を見ていたもう1人の青年が

「だめだ光、やばいもうやつらが来た。」

と、叫んだ。

「遅かったか…いいか、出来るだけ急いでここから去るんだぞ!!
君達はここにいちゃいけないんだ…ここは…ここは…魔物の住みかなんだから…わかったね。」

そう言うと、2人はあわただしく去っていった。

「何なの?あの人…ビックリした、麻衣子さん大丈夫?」

と奈月が聞くと、麻衣子が

「うん、大丈夫だよビックリしたけどね。
でも魔物の住みかって、まさか。」

と、言った。奈月は身震いしながら、

「まさかぁ~あり得ないよね…。」

と言うと、実加は小さく微笑み

「そうだね…そうだといいけど。」

と、呟いた。

この時の彼の言葉を、後になって思い出す事になろうとは、夢にも思っていなかっ た。

2人の青年が去ってすぐに、5人ほどの村人たちがやって来た。
そして、3人を見つけ近寄って来た。
そのなかの白髪で品のいい老人が、微笑みながら話出した。

「いやーお待たせしましたな、私は村長の白山です。
皆さんこの雪の中、よく来てくださいました、ありがとうございます。
これからしばらくの間、館での仕事をよろしく頼みますよ。
今からこの者が皆さんを館までお連れするので、何かあったらこの者に言い付けてください。」

すると、後ろから田所があらわれた。

「私は平岩家執事の田所です。
寒いので、皆さんさっそく参りましょうか、あちらに車がありますから。」

そう言い、車のあるほうを指差した。

「はい、よろしくお願いします。」

と、楽しそうに言う奈月とは対照的に、緊張した表情の麻衣子と実加だった。

いよいよだ、行くよ実加。

うん、行こう麻衣子。

2人は目で合図をしあった。
そんな2人に気付かない奈月は2人の腕をつかみ、

「なにボケッとしてるの?…さあ行くよ!」

と言い、2人を引っ張って行った。

「今年はまた、えらく元気な娘さんが来たものだなあ。」

と、白山が言うと、野々宮が

「あれくらいでないと、ではないですか?」

と言った。白山は

「そうだな、あれくらいでないとだな。」

と言い、目の前を走り去る車に、笑顔で手を降 った。

四人が乗った車が去っていくのを見届けて、白山が言った。

「行ったようだな、よかったよかった、また1年この村は永らえる事が出来た。
だが、あの光のやつには困ったものだな。」

野々宮が、頷き

「はい、それにあの広人とか言う男も気になりますね。
あんなによく似た彼を、なぜ館に残したのか…。何か魂胆でもあるのでは?」

白山は苦虫を潰したような表情になり、

「そうだな、何事も起こらなければよいんだが…。
まったく、何を考えているのだろうな、あの化け物たちは。
ここの所大人しくしているかと思えば…。
いや、またこの村を出ようとされてはかなわん…いいか、よく見張っておくのだぞ。 」

と言った。野々宮は頷き

「お任せください…逃がしはしません。お前達、頼んだぞ。」

と、一緒にいる村人に言った。そして、白山も

「頼んだぞ、あれは化け物だが大事な物だ、気を抜くなよ。」

と、不敵に笑いながら言った。
はらはらとまっていた雪は、いつの間にか本降りになっていた。

「さあ、みな帰るぞ。」

との白山の言葉に皆うなづき、村人たちは足早に、 雪のなかへと消えていった。