毎年この時期に、田舎の実家に帰る私たち。
今年も主人たちは山道を上がってお墓にお参りに行ったが、私は妊娠中なので仏壇でお参りを済ませた。
そろそろ帰ろうと田舎の家を出て車を走らせているとふと主人が
「しまった、叔父さんのところお参り忘れてたわ!」
と言い引き返し出した。
いつもは忘れない叔父さんのお墓参りなのに、今年は珍しい事もある物だと思った。
しばらく走り、お墓に行く道の下の駐車場に車を停めた。
「お前はここで待ってていいぞ、すぐ戻ってくるから。」
と言い、主人はお墓に向かった。
車の中で待っていたがなかなか帰って来ないので、車からおり辺りを見回した。
ふと見ると隅の方に赤いカラーコーンがおいてあり、駐車禁止と書かれてある。
「あの隅、なんで駐車禁止なのかしら?」
と気になっていると、お婆さんがやって来た。
「どうした?」
「あ、あそこ駐車禁止になってるの何でかな?と思いまして。」
と言うと、お婆さんは私をちらっとみて
「あんた、大丈夫か?」
と言われたので驚いて
「大丈夫ですけど⁉️」
と言うと、
「それなら良いけど、ここはその昔焼き場だったんじゃ、ほらちょうどあそこ」
と指差した、その先を見ると、カラーコーンの置かれているところだった。
「あそこに停めると、必ず後ろの崖に落ちるんじゃ」
「後ろの❗️」
「そうじゃ、危ない言うて駐車禁止にしたんじゃが、それでもどけて止める人がおってな、危ないから上に地蔵さん作ったんじゃけど、なかなか勝てんでなぁ。こうやって、気が付いた人には停めんように言ってまわっとんよ」
「そうなんですか」
「あんた、子供が生まれるまでは夕方に墓参りには来たらいかんよ❗️ここにも来ん方がええ、気を付けなさいよ」
といい去っていった。
しばらくして、主人が帰ってきた。
「悪い悪い、帰りに珍しく木の枝が道を塞いでて、困ってたら通りすがりの人に助けてもらってたんだ」
「いつもそんなこと無いのに、珍しいわね」
「だろう」
「あ、そうそうさっきね…」
と、さっきあったお婆さんの話をすると
「それ、白髪の腰の曲がった婆さん?」
「そうだけど」
「有名なここの見張り番だ、あのカラーコーンの斜め上の地蔵さんらしいぞ」
「え?」
「あそこの隅、危ないから駐車禁止の張り紙と見張りをしてたらしいんだけど、それでも色々あって、あのお地蔵さん建ててからましになったみたいだ。それから時々現れるって」
「でも、全然怖くなかったわよ」
と言うと
「悪さしてないからだろ❗️それとも話しをしたかったのかな?」
と言いながら、その駐車場を出ようとしたとき
チリンチリン
と鈴の音がした。
私は慌てて振り返ったが誰もいなかった。
「ねえ、これからはお墓参りは夕方までに済ませましょうね」
と言うと
「そうだな、さっき助けてくれた叔父さんも言ってたぞ。妊娠中は敏感で呼ばれたりして危ないから、夕方までに墓参りを済ませろって」
主人と私は顔を見合わせた。主人がひきつりながら
「まさかな」
「まさかね」
そう言いながら、駐車場をあとにした。
もし、もう少し遅くまであそこにいたら…と思うと、背筋がゾクッとした。
